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2011-01-24 00:00
(連載)中国の「核心的利益」と米中首脳会談(1)
角田 勝彦
団体役員
中国の胡錦濤国家主席は、1月21日に4年9ヶ月ぶりの4日間にわたる米国公式訪問を終え、オバマ大統領の地元シカゴから帰国の途に就いた。19日のオバマとの首脳会談について中国外務省が「成功」と発表したように、相互信頼を基礎に協力関係を築いてゆくことが合意され、最近ぎくしゃくしていた米中関係修復への道が開かれたといえよう。貿易面などでの成果は大きく、人民元大幅切り上げ論もしばらく鎮静化しそうで、経済を軸とした米中連携の拡大が見込まれる。しかし、表面化した人権を巡る対立に加え、共和党が中間選挙で勝利した米国内では特に「核心的利益」に結びつく中国脅威論が強くなっている。今後の進展(たとえば台湾への武器売却)によって中国もどう動くか判らない。
我が国にとっても「核心的利益」の概念は、南西諸島防衛に影響する重要問題である。この際、国連憲章第2条の掲げる「国際紛争の平和的手段による解決義務」、「領土保全又は政治的独立に対する武力よる威嚇又は武力の行使の禁止」の諸原則の重視を、国際的に強く主張すべきである。オバマは、威信を重んじる中国の意向を汲み、国賓として胡主席を厚くもてなすとともに、「中国が強国として台頭することを歓迎する」と繰り返した。
ちなみに、中国が1月20日に発表した2010年の国内総生産(GDP)は3年ぶりの2ケタ成長で、名目GDPは約5.88兆ドルと、日本の5.45兆ドルを抜き、米国に次ぐ世界2位の座を確定的にした。今回中国側は、経済面で450億ドルを超す大型貿易商談や40件近い米中企業提携をまとめた。同行した中国の陳徳銘商務相は21日「中国政府は2015年までに米国の対中輸出が2倍の2000億ドル(約16兆5千億円)になることを希望する」と述べ、米国の輸出倍増構想を中国も支持する姿勢まで示した。米中関係は、昨年初めから台湾、チベット、南シナ海などの問題でぎくしゃくしてきたが、今回の公式訪問で演出された経済関係を中心とする相互依存と協調の関係が、その修復への道を開いたことは明らかである。
このウイン・ウインの経済連携に加え、今回まとまった軍事面を含むハイレベルの交流の仕組みを築くこと及び国民が幅広く参画できる友好事業を推進することは歓迎されるが、今次訪問に関連して、人権問題に加え、中国脅威論(裏返しにはステーク・ホルダー《責任ある利害共有者》論)が議論されたことは否定できない。ホワイトハウスとは逆に、米連邦議会では、共和、民主両党から中国への批判が吹き荒れた。「北朝鮮からイランへ輸出されるミサイル部品の中国国内の搬送は、北京の同意がなければできないことだ」などの発言もあり、経済面でも84人の超党派の上下両院議員が19日「中国の不公正貿易で、米国の忍耐は限界に来ている」などと訴える手紙を連名でオバマ大統領に提出した。(つづく)
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