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2011-01-25 00:00
(連載)中国の「核心的利益」と米中首脳会談(2)
角田 勝彦
団体役員
さて、問題は「相互の核心的利益の尊重」である。今回の共同声明にはこの言葉がなかった。実は2009年11月のオバマ訪中時の共同声明で、台湾やチベットが中国の「核心的利益」であると明記したため、2010年1月に米政府が決めた台湾への武器売却に中国が反対する根拠を与えたという経緯があった。中国側は昨年春、南シナ海についても「核心的利益」だと米国側に主張し始め、米国の強い反発を招いていた。このためオバマは、東シナ海や南シナ海での海洋覇権拡大を狙う中国を警戒し、明記を求めた中国側を押し切った。また、「米国をアジア太平洋の国として中国が歓迎する」という文言が新たに盛り込まれ、米国のアジアへの関与が鮮明に打ち出された。ただし「核心的利益」が消えた代わりに、声明には両首脳が「(09年の)共同声明をより強く再確認した」との文言が明記され、中国側への配慮も示された。
胡主席は1月20日、友好諸団体がワシントンで開いた昼食会の講演で、台湾やチベット問題については「主権と領土にかかわる中国の核心的利益だ。13億国民の民族関係にも影響する」と述べたが、南シナ海の海洋権益には言及せず、「核心的利益」の例にも挙げなかった。
このように中国の南シナ海(もちろん東シナ海)への野心にも一定の歯止めが掛けられた。20日の講演で胡主席は「中国は平和的発展の道を歩む」と約束し、中国は「防衛的な国防政策を遂行し、軍拡競争をせず、他国の軍事的脅威にならない」とも強調した。また20日、北京で開かれた日中両国の外交・防衛当局による安保対話でも、中国側はステルス戦闘機など自国の軍拡については「中国は平和的発展を目指しており、適切に適度に軍事力を発展させている。我々は周囲の脅威にならない」と従来の立場を繰り返した由である。
逆に、20日の安保対話で、中国側は、日本政府が昨年12月に閣議決定した新防衛大綱で、南西諸島の防衛強化を打ち出したことなどに懸念を表明した。これに対し日本側は「専守防衛などの基本方針は変わらない」などと説明した由であるが、この際我が国としては、関係地域に関し「国際紛争の平和的手段による解決義務」や「領土保全又は政治的独立に対する武力による威嚇又は武力の行使の禁止」を定めた国連憲章第2条の諸原則の重視、すなわち一方的な「核心的利益」の主張は「武力による威嚇又は行使」を正当化しないことを、国際的に強く主張し、明確化すべきである。(おわり)
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