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2011-02-01 00:00
(連載)日本列島に蔓延する悲観論を排す(1)
吉田 重信
中国研究家
昨今の日本の内外情勢に関連して、わが日本列島には、悲観論が蔓延している。これは、浅薄なジャーナリズムと一部の売文的言論人のせいである。彼らは、「日本は、中国、ロシアや北朝鮮などに舐められているのに、政府が弱体で、なす術もなく、これでは国難到来だ」などと、でたらめな言説を振りまいている。それだけならよいが、一部の無責任な言論人たちは、好機到来とばかりに、「中国脅威論」、「日本没落論」などを声だかにわめきたてるとともに、その対策として、「平和ボケを直せ」、「核所有を含む軍備増強を」、「日米軍事同盟を強化せよ」、「沖縄の米軍基地は永久化せよ」、「国家体制を強化せよ」などと叫んでいる。
これに対し、ほとんどの国民は、これらのジャーナリズムによる世論操作の是非を疑うこともなく、わが国民性である「どうしようもない」とのあきらめの心理に陥っている。日本は、本当に「平和ボケ」しており、「没落」する運命にあるのだろうか? 軍備増強が唯一の妥当な選択なのだろうか?この際、国民は冷静になって、考えてほしい。
むしろ、悲観論や「没落」論こそが、国民、とくに青年層の気力をなえさせ、将来に希望を失わせているのではあるまいか。また、「日米同盟強化論」や「米軍の沖縄基地の永久化」論は、結局は、これまでの日本の米国への追随体質を容認し、国民の自主独立精神をなえさせているのではないか。これでは、日本は不羈独立の精神を失い、ますます弱体化するだけである。ましては、軍備強化論は、アジアにおける「冷戦構造」への逆戻りと各国による軍備増強への悪循環の再現をもたらす危険がある。
また、日本弱体論や「没落」論はなんらの根拠のない「ためにする」謬論である。言うまでもなく、あらゆるデータが示すとおり、日本は、十分な国力、秩序ある安定した社会、高い科学技術や文化などの蓄積がある。近年の世界の識者たちによる日本の評価は極めて高い。しかも、日本の国家体制の強靭性の秘密は、国民投票を通じて、政権交代という「無血革命」を遂げることを可能ならしめる議会制民主主義が存続していることにある。確かに、国民の期待を担って政権についた民主党現政権は、経験不足もあって、まだ十分に実績をあげていない。しかし、日本の現下の政治的混乱状況の一因は、国会の二院制による「ねじれ現象」に由来するものである。この困難な課題、つまり「議会制民主主義にともなう欠陥をいかに克服するか」が政治家や選挙民に問われている。この問題は、中国などの独裁体制が抱える、独裁体制から民主主義体制への移行といういわば初歩的、低次元な問題に比べ、高次元な問題である。このような日本の課題は、今後日本の政党間の協議を通じて、いずれ解決されると考えてよい。(つづく)
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