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2011-02-03 00:00
TPPは世界に共同コミュニティーを作る理念です!
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
日本政府が米国政府からTPP関連の情報を収集したところ、TPPの枠組みの中で一部例外が認められそうだということで、安堵感をもつような空気が日本国内に生じているようですが、「おかしい」と思います。そもそも日本がTPPに期待するものは、目先の国益や損得勘定ではないと思います。今後益々グローバル化が進行するでしょうが、世界を統率する指導者は現れないでしょうし、世界を支配する国家も出てこないでしょう。そんなものは、出てきたら困ります。しかし、それぞれ異質の文化、国民性、経済状態、特殊事情を持った国同士の国際的相互関係の中で、混乱や紛争、戦争を避け、バランスや均衡・調和を保つ制度や仕組みは必要です。そのように考えると、TPPの考え方には世界を良い方向に向かわせる非常に重要な理念が含まれていると評価しています。
現存の国際連合に世界を統括する機能はないし、世界銀行に世界の中央銀行の役割を果たせるとも思いません。所詮、世界がどこかに統一されるなんてことは、起ってほしくありません。TPPとは、世界各国間のモノの流れ、サービスの流れ、知識や情報の流れ、人の流れを、とにかく障害なく、スムースにし、世界の相互関係性を高めて、異質の文化の交流や、世界各国の共同コミュニティーを作ってゆこうとする理念だと思います。日米韓の連携だとか、日米同盟等と言った、徒党を組んでどこかの国に対抗するのではなく、各国の相互関係性を互いにかけがえのないものにする考え方だと思います。
唯我独尊的に言わせていただけば、最近の先進各国の政治経済において、産業でもなく、付加価値も生まないゼロサムゲームのマネーの世界だけで市場主義経済が実現され、バブル崩壊後に各国政府財政がそのしりぬぐいをしなければならない不味い結果になっています。アダム・スミス流の自由放任経済論やワルラス・パレート流の新古典派経済学の市場均衡理論は間違っているのでしょうか?そうではなく、片手落ちのグローバル経済化が間違っていたのだと考えます。
今後の世界経済を考えると、まず、付加価値の伴う実物経済の物流・商流のほか、人や情報と言う実質価値のあるものが、広く国境を越えて自由に交流する必要があると思います。つぎに指摘したいのは、人的な保護や規制の中では自然淘汰や適者生存といったダーウイン的な節理が働かないということです。すると、不労利得や既得権益のなどの本来望ましくない利得・利権が巨大化し、自滅するまではびこります。したがって、TPPは、自由放任のみならず、自然淘汰の環境も備えた国際交流のフィールドでなければならない、ということが分かります。参加各国が自国の経済と文化を「進化論的」に成長・進化させて、成功すれば、やがて広く世界のスタンダードとなって全世界に広まってゆくでしょう。日本が仮にそのような理念を現時点で共有できず、条件交渉をする構えならば、世界の未来の仕組み作りを目指した協議に参加する資格はありません。将来、TPPの仕組みが出来上がった後、頭を下げて入れてもらうことになるでしょう。日本の外交は、本当にそんなので良いとは、決して思いません。
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