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2011-02-10 00:00
ロシア外交の3つの特徴と長期的衰退の展望
四条 秀雄
不動産業
プーチン体制下に移行したロシアは、北方領土の主権を主張し、これを日本に返還する意志のないことを、行動で示し始めた。しかし、このロシアの行動は、予測できるものだった。私見によれば、ロシア外交には、つぎの3つの特徴があるからである。
(1)米国やかつてのナチス・ドイツ(あるいはさらに遡ればナポレオンのフランス)などの強者に卑屈であり、そのぶん弱者には居丈高であること
(2)北極海とツンドラを背にして、地政学的に北方の安全が確保されており、南下戦略にエネルギーを集中できること
(3)西欧に対するコンプレックスが強く、そのぶんコーカサス、中央アジア、シベリア、極東の住民に対しゆえなき優越感をもっていること
思えば、北方領土問題に対するロシアの誠意のなさは、それがこれら3つの特徴のすべてを反映しているからであり、それがロシアの国益を反映しているからではない。ロシアは、その国益が何であるかも考えず、動物的な本能に駆られて行動しているのである。
米国やロシアのような人口密度の低い国土では、欧州や東アジアとは異なって、経済的欲望に関して個人主義が強く、公共資産の蓄積が軽んじられる。米国では資本家や財団に資産が蓄積され、ロシアでは資源マフィアに蓄積される。国家は、国民が貧困に落ちても、これを救おうとはしない。そのうえ、米国の資本家と違って、ロシアの資源マフィアは、論理的・戦略的な行動を取らないので、その資源を利用するための投資すら十分には行おうとしない。
ロシアがソ連であった頃には、共産主義という思想がロシアにいわばソフト・パワーを与えていた。世界中の共産主義者はロシアに幻惑されていた。しかし、ロシアは思想の力を本当には理解していなかった。その証拠に、ロシアは簡単に共産主義の旗を降ろした。長期的に観て、この状態でロシアが現在の大国としての地位や領土の広さを維持するのは難しいだろう。3つの外交的特徴に縛られたロシアは、この制約を自覚し、乗り越えないかぎり、その将来は拓けてこないだろう。
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