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2011-03-13 00:00
危機を口実に内閣の存命を図るのは許せない
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
東北太平洋沖地震と津波によって大災害が発生した。心を打たれながらテレビ、新聞のニュースを見つめています。被災地の状況は、私が両親から聞いていた、第二次大戦末期の東京大空襲の当時を想起させるものです。当時、東京の青山通り近辺は焼け野原になり、死亡した人があちこちに散乱している中で、学校から歩いて帰った話や、親戚の数名が戦死してしまったことの思いが脳裏をよぎります。当時の焼け野原の状況と、今回の東北地方の太平洋沿岸地域の津波の爪痕の街の状況はそっくりなのではないでしょうか。今回は人為的な戦争被害とは違い、まるで生きているような地球の活動という天災そのものであり、だれの責任でもありません。誰をも恨むことなく、ただひたすら復興に励む以外に手がありません。
それにしても今回の災害は、日本国民の力に任せれば、必ず復興できると思います。第二次大戦後も戦争で財政破綻した日本政府にはなんの力もありませんでしたが、それでも日本国民は、ひたすら前向きに、誰もができる限りのことをやりました。今回も、景気対策と称した長年の財政赤字に苦しむ政府の無力は同じ状況ですが、日本国民が不屈の精神を持って地力を発揮すれば、世界のマスコミが一致して言うように、復興は必ず達成できると思います。政治家はもっと日本国民を信頼し、その力を十分に活かすことを考え、決して「政府の指導力」等と肩に力を入れて、お上中心の世の中にしないで欲しい。
そこで、私が懸念しているのは、「困難に遭遇した人々をネタにして己の権力を固め、統制を強化してゆくような社会主義的な政策は止めてもらいたい」ということです。福島原子力発電所の問題についていえば、政府が新たに電力統制大臣のようなものを設ける必要はなく、日本屈指の大企業である電力会社の経営者を信じて、かれらに存分な対応をしてもらい、社会的責任を果たしてもらえばよいのです。本来国民の自発性、自主性のもとに存在するはずのボランティア活動に対しても、災害ボランティア統括の首相補佐官を設けて統制しようとするなどの発想は、もってのほかです。
指導的立場の政治家なら、まずは国民を信頼することが先です。そのような指導者には、国民の方が後からついてゆきます。政治も、外交も、任せるようになります。政治には、国民が力をうまく結集できるような方向付けや後押しを期待します。今回の大災害を目の当たりにして「日本復興の為には、とにかくやるしかない」と既に感じているのが普通の健全な一般国民です。未曽有の災害を口実に、政府が上に立って統制を強め、権力を掌握し、内閣の存命を図るのは、許せません。
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