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2006-08-12 00:00
脅威は脅威と感じ取らなければならない
埜口興平
大学院生
私のような弱冠の書生の投稿(7月24日付け)に対し真摯に御答え頂き、ありがとうございます。筆名(上杉慶司)では失礼に当たると存じますので、今後は本名にて私見を述べさせて頂きます。
吉田康彦先生はミサイル発射が日本の脅威ではないといっておられます。日本人は過剰にうろたえ過ぎているとも言っています。テポドンはなるほど米国を狙ったものであり、結果も失敗に終わったことから考えて日本の脅威とみなす必要はないかもしれませんが、7発のミサイルに含まれていたノドンにはどういう意味合いがあるのでしょうか。ノドン発射に日本を恫喝する意味合いはないのでしょうか。在日米軍を狙いさえすればたとえ着弾しても、日本は被害を受けてないというのでしょうか。米国へのアピールに過ぎないと言っておられますが、ハワイにすら届かないノドンを撃ったところで米国には何のメッセージも送ることはできません。先生は日本が一方的に軍事力強化へ向かっていると非難しておられますが、北朝鮮の愚行がなければ日本でこうした議論が起こることすらなかったかもしれません。どちらが危険であるかは、私がこれ以上愚見を述べるまでもないように思われます。
また、北を擁護していないと言いつつ、一方で北に対して強硬な態度をとるのなら世界中のミサイル保有国に対しても同様に糾弾すべきだと“ヒステリック”な持論を示しておられます。しかし、私はミサイルの保有や発射そのものを問題視しているのではないのです。保有や訓練・実験など全てを規制すべきだなどというナイーブな極論を言うつもりもありません。日本を射程に収め、日本国土への攻撃能力を有し、いつ暴発するかもしれない独裁国家によるミサイル発射が脅威なのだと言っているのです。極めて理性的な反応ではないでしょうか。
核についても、確かに今現在北朝鮮の核は現実の脅威ではないかもしれません。また、核実験を経ずして実戦配備しうる核兵器を保有することができないのも周知の事実です。しかし、実験データや技術は中国やロシアからいくらでも獲得することができます。事際、98年の発射から先日の発射まで目立った実験を行っていないにもかかわらず、ノドンの精度はあがっています。これは、どこかからデータを入手している証左と言えるのではないでしょうか。今現在の北朝鮮の能力を見ていながら、将来起こりうる危険を安穏と見過ごそうとする態度は、責任ある立場の人の言葉とは思えません。吉田先生自身も、これで米国が振り向かないなら北朝鮮は核実験カードを切る、と言っておられるではないですか。その危険性を認めておられるのに、なおも日本は北朝鮮が核ミサイルを完成させるまで手を拱いているべきだと言うのでしょうか。
吉田先生の2度(8月1、4日)の書き込みに対する私見は、上記の通りです。この中で日本がこれにどう対応すべきかという私自身の意見を述べないままでは、単なる揚げ足取りに終始してしまいますので、日本がとるべき方策については次回に述べたいと思います。私は吉田先生をただ非難するつもりは微塵もありません。むしろ、日本でも有数の北朝鮮の事情に通暁されている先生のような方が、その情報と経験を日本のために役立てようと尽力しておられないように思えて残念に思う次第です。
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