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2011-03-18 00:00
(連載)「復興から再建へ」の所感(2)
角田 勝彦
団体役員
次は、復興である。失われた建築物や交通基盤のストックについては、被害が広範囲であるため1995年の阪神・淡路大震災の約9.6兆円(全国ストックの約0.8%)をかなり上回ると見られ、3月15日ゴールドマン・サックス証券は、その約1.6倍に当たる16兆円、さらに大規模停電を伴っている点で経済活動への影響は大きく、2011年実質GDPを0.5%ていど押し下げようとのレポートを発表した。
阪神・淡路大震災に際し政府は3度の補正予算を編成して、3.2兆円を計上したが、今回はより多額が必要になろう。自民党は15日5兆円規模の緊急対策を発表した。問題は資金源である。筆者は「危機にあたり臨時増税より特別公債発行を」と主張したが、15日野田財務相は、増税の可能性を「検討していない」と否定した。国と地方の長期債務残高が2011年末で892兆円に達する現状では、公債発行を避けたいのは筆者も同じであるが、やはり復興財源の中心は建設公債によるほかないであろう。
その前にとりあえずの対策として、2010年度予算の予備費がある。使い切った後、4月以降の2011年度予算での予備費1.16兆円は当然として、民主党は「2011年度予算から子ども手当増額分と高速無料化を凍結し、2200億円をひねり出す(減額補正)」と提案した。自民党は「子ども手当すべての凍結など(バラマキ4K凍結)で、約2兆円を捻出せよ」と主張している。16日には「各党・政府震災対策合同会議(仮称)」が開かれるなど協調への姿勢が見られ、妥協はできるだろう。
問題は復興への基本姿勢である。幸い日経平均は15日の暴落から大幅反発し、9000円台を回復したが、日本の危機は世界全体に影響している。国内でも、経済のみならず、社会面にも不安が広がる可能性がある。関東大震災のとき、財政健全化を重視する余り緊縮に走り、円高容認なども相俟って、昭和初期の金融恐慌につながった例もある。与野党努力して、東北地方の復興を新しい日本の建設につなげる再建計画を樹立することが望ましい。(おわり)
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