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2011-03-18 00:00
日本の国運は、東北大地震によって好転する可能性あり
吉田 重信
中国研究家
今回の東北大地震が日本の政治、経済、一般世論、国際関係などに対してどのような影響を及ぼしつつあるかについて考察してみたい。今回の地震は、65年前の敗戦当時の日本の状況を彷彿とさせる。当時、日本政府と国民は、一致団結し、互助精神を発揮しながら、秩序を維持し、国家再建に取り組み、今日のような発展を遂げた。
目下みられる政局、経済界や一般の世相などの状況には、かつてのような「国家再興」のたくましい動きが顕著にみられ、諸外国の称賛の的となっている。すなわち、国会では、与野党双方から「政治的休戦」の動きが顕著となったり結果、当面菅政権が政権を担当することが可能となり、菅政権にとっては僥倖といえる情勢となってきた。加えて「ねじれ国会」という現象も事実上解消されて、与野党あげての「挙国一致体制」が現出しつつある。政界再編への動きさえも、すでに事実上始まっているとみることもできる。
国民は、かかる国難に伴う負担増を覚悟しているようであり、国債の大幅発行やいずれ予想される消費税の大幅増額も容認するような形勢となっている。GDPによって表示される経済成長は一時期頓挫するだろうが、復興を目指す政府による大幅な予算支出によって、地震はこれまで低迷していた土建業をはじめとする産業界を活性化させていくだろう。現下の急速な円高現象は、将来の日本経済の発展に対する国際的信任を物語っている。
また、今回の地震によって活性化したのは、これまでの民主党政権のもとで鬱屈していた霞が関の官僚たちである。災害支援と原子炉対策をめぐって防衛省と警察庁が、予算の起案と配分をめぐって財務省が、国土再開発をめぐって国土交通省が、原子力政策と経済復興をめぐって経産省が、各省間の調整をめぐって内閣官房が、それぞれ権限と勢力を増大させている。この結果、経済復興は、政界、官界、経済界の癒着と連携によって推進される可能性が大きい。これは、かつて成功した、日本の国家運営のありかたに似たものとなりそうである。田中角栄内閣によって推進された「列島改造論」の再来のような現象も予想される。小沢元代表に象徴される「国土開発族」が再登場するチャンスかもしれない。さらに、今回の災害に対する国際的な同情や支援にともない、日本をめぐる国際環境は、全般的に緩和されると予想される。楽観視すれば、日中、日ロ関係が好転する可能性もあるといえる。
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