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2011-03-19 00:00
国民一人一人がその持ち場に全力を尽くそう
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
今般の大震災の報道に接して、全国民が大自然の脅威におののき、その被害の無残さに胸を撃たれています。こんなとき日本国民の一人として、どのように振る舞うべきか考えてみました。そして、私の結論は、各自が自分の持ち場に集中することだと思いました。震災のために「あれを止める」「これを控える」ではなく、国民全体が、自らの目前の役割を確実に果たすことが大事だと思いました。生産者は生産に、輸送業者は輸送に、配管業者は配管業に、小売業者は小売業に、それぞれの仕事に邁進することが必要です。仕事だけでなく、学生は学業に、研究者は研究に、芸術家は芸術にと、すべての人が自分の持ち場に徹することによって、国中の付加価値を最大にし、すべてはGDPを持ち上げることにつながります。それは被害者を支援する国力の増加につながるからです。助ける立場の者がしっかりしないと、助けられる方々も不安を増すだけです。
過去20年近くの平時に、景気回復などと称した公共工事で政府は、財政を破綻させ、国民の積み立てていた年金を食いつぶしてきました。その政府が、今、こんなときに今度は増税を考えているようですが、とんでもないことです。かつて関東大震災の後には昭和恐慌に見舞われ、震災手形にはモラトリウムがひかれました。太平洋戦争時の戦時国債も、戦後にはハイパーインフレに直面して、紙切れになりました。現在の赤字国債も、そんな憂き目に会うようでは困ります。
政治の果たす最も大きな役割は、軍事(自衛隊)、警察、消防、海上保安庁などの国防と安全の役割です。そのことがこの際はっきりしたと思います。「国民の生命を守る」ことこそが、政府の最重要の役割であって、「国民生活第一」などと称する「カネ配り」の仕事ではありません。原子力発電所の安全性確保は喫緊の課題で、当事者の方々は命懸けで努力しておられます。何としてもこの危機を克服して、原子力安全管理技術ナンバーワンの国になりましょう。震災の被害者救済、復興は、当面日本の最重要政策課題ですが、こんな時は、すべての企業はフル生産、フル稼働に励み、人々はそれぞれ自分の持ち場でフル活動して、被災地域の人々を中長期的に支えましょう。
政府は、大臣や内閣のポストをやたら増やしても意味がありません。今は、1億2000万人の国民がそれぞれの立場でふさわしい支援行動の判断ができるように、適切な情報提供をすることがもっとも大切です。国際的にも「日本は、今回の災害を絶対に克服してみせる」という、強い意志を示しましょう。それにしても、地震・津波の最中に、直ちに原子力発電所の被害を察知して、冷却水を空輸するだの、無人偵察機を使うだのと、日本に出来ないことを申し出てくれた米国の支援はありがたいことでした。日本政府に出来ることは、日本国民の力を引き出すことです。私は、国民それぞれが自分の持ち場を精一杯こなすことが、巡り巡って震災からの復興への最短距離となることを、ここで強調したいと考えます。
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