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2006-08-15 00:00
米国の識者の意見にも耳を傾けて
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
8月12日付け埜口興平氏の投稿「脅威は脅威と感じ取らなければならない」に対し、以下のとおり回答します。
(1)ノドンは飛行距離からして日本列島ならびにその周辺への攻撃を想定して開発・配備されていることは事実ですが、目標は在日米軍基地ならびにグアムの米軍基地です。これは、平壌で北朝鮮当局者から確認済みです。日本の国土と国民が標的でないことは①日本には「日朝平壌宣言」を履行させ、推定100億ドルの補償(日本側としては「経済協力」)をさせるつもり、②在日コリアンが60万以上いて祖国を支援してくれている、と前回指摘したとおり。
(2)だからといって、日本に被害が出ない保証はありません。しかし対抗策として撃ち落せるかどうか不確かなMD(ミサイル防衛網)配備のために巨額の支出をすることこそ愚の骨頂。日米両国は「脅威」排除のための外交努力をなぜ怠るのかということです。
(3)米国の対応は次項で述べますが、日本は小泉首相訪朝で「日朝平壌宣言」に署名、国交正常化で合意したものの、拉致問題の徹底究明(被害者の全員生還・救出)を「入口」に掲げて、これを履行するどころか、ミサイル発射がなくても単独経済制裁に乗り出す状況でした。日本の制裁は効を奏するどころか「北」の敵意を駆り立て逆効果になるばかりです。「拉致問題の徹底究明」を主張し、被害者家族を背後で支えている組織・勢力の実体をご存じですか。彼らは日朝国交正常化に反対し、金正日体制打倒を叫んでいます。「脅威」を創り出しているのです。
(4)ブッシュ政権は「北」が求める直接対話を拒否し、あくまでも北京の6者協議で、とかわしています。朝鮮戦争はいまだに休戦状態(準戦時状態)、「休戦協定」の調印相手も、朝鮮半島の平和と安全保障を仕切っているのも米国なのだから、その米国と「平和協定」を結ぶために米朝間で交渉したいというのが「北」の立場なのですが、ブッシュ政権はこれに耳を貸さず、時間稼ぎをしているのです。なぜだとお思いですか。クリントン政権も試行錯誤しましたが、最後は真剣に交渉し、米朝国交正常化寸前までいっていたことは、ご承知のとおり。
(5)独裁体制だから「いつ暴発するかもしれない」というのは「北」に対する無知と偏見です。大抵の日本人がそう思っています。「敵を知らない」ことほど恐ろしいことはありません。1990年代初頭の第1次核危機いらい「北朝鮮は崩壊する」「暴発する」と日米の似非専門家は繰り返してきました。本音では、「北は暴発しない」ことをいちばん知っているのは、ブッシュ政権だろうと思います。
以上ナイーブな議論を展開しているとは思いません。残念ながら日本で少数意見であるだけです。米国にもブルース・カミングズ氏やセリグ・ハリソン氏など同意見の持ち主はいます。彼らの意見に耳を傾けてみて下さい。
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