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2011-03-26 00:00
国民に夢と希望をもたすような政党の台頭を待望したい
吉田 重信
中国研究家
3月21日付けの山田光彦氏の本欄への投稿「目に余る菅政権の無能・無策」を私は23日付け本欄で「菅政権は国政全般にわたりよくやっている」と批判したが、これに対し26日付けで山口氏より「やはり菅政権に日本復興は任せられない」との反論があった。私としては、論点がずれているように思われるので、ここに再度私の真意を説明し、再批判に代えたい。まず言いたいのは、1年半前に民主党が総選挙を通じて政権交代を果たしたのは、マニフェストで国民を欺いたからではなく、安倍、福田、麻生と3代続いた自民党政権の体たらくに国民が愛想を尽かしたからだ、ということである。いわば、「敵失」による政権交代であった。さらには、これまでは成功してきた自民党的政治だったが、今後となると、日本が抱える困難な諸問題を自民党では打開できないとして、国民は民主党に国政を託したのである。ところが、その後、民主党は、左右勢力が混在するまとまりの悪さ、経験不足などの結果、さまざまな内部混乱にさらされ、政権維持能力の不足を露呈した。
その故に、私は、その後の民主党のあり方には大いに不満である。しかし、さりとて、金権体質の自民党政権に再び戻ってきてほしいとは願わない。なぜなら、自民党政権への回帰は、日本にせっかく芽生えてきた改革へのチャンスを失わせ、日本をさらに悪くすると危惧するからである。また、今回の原発事故の主たる責任は、事後処理に拙い民主党にあるのではなく、そもそも「安全神話」をふりまき、原発推進を図ってきた自民党にあると考えるからである。国民は、民主党を選んだからには、ある程度の期間は、たとえ多少の不満があっても我慢して、民主党にチャンスを与えなければならない。そのうちに民主党は、失敗を重ねながらも、国家運営術を学んでいくであろう。最近、民主党への支持率が大幅に回復してきているのは、このような国民の期待を反映しているものと考える。
政権の座にある政治家が、その権力の維持にあらゆる努力を傾注するのは、当然のことである。歴代の自民党指導者たちも、同様であった。考えてもみてほしい。今回の大震災の直前に、もし菅首相が自民党の言いなりに辞任したり、国会を解散していたとすれば、司令塔を失った日本はどうなっていただろうか。菅政権が執ように政権の座にとどまっていたからこそ、いま我々は司令塔を持っているのである。菅政権はせっかく与えられた職務を粛々とこなさなければならない。ただし、菅首相には、パ-フォーマンスに走り気味で、調子に乗りすぎている気配はある。とはいえ、民主主義体制下にあっては、人気取りが商売である政治家にとっては、パーフォーマンスの技術如何は、政治家の運命を決めるのである。小泉首相はパーフォーマンスの巧みな政治家であったが、谷口自民党総裁のパーフォーマンスは、菅首相のそれに比べても、著しく劣っているようにみえる。「劣っているほうがよい」という理屈は成り立たないであろう。
菅首相は谷口総裁が拒否することを折り込み済みで、副首相への就任を要請したと思われるが、その狙いは、劣勢に陥った自民党をさらに混乱させることにあったと考えられる。菅首相の辣腕ぶりは冴えているとみたい。また、災害救助と復興作業に必要な官邸の能力強化のため、いわくつきの仙石氏を副官房長官として再登用した手口も、私から見れば、まことに頼もしいかぎりである。いずれにしても、菅政権は任期いっぱいまで存続しそうな情勢である。今後菅政権が国家再建という重要な作業に着実に業績をあげて行くならば、2年半後の総選挙はおろか、その後の政局においても、相当のイニシアティブを発揮するのではないか、と期待したい。私は、自民党と民主党のいずれをも支持しない「無党派層」に属しているが、当面は事態を黙って見守りたい気持ちでいる。国民にとっては、国会における党派争いの推移よりも、民主党であれ、自民党であれ、各政党が、国家再建にあたりいかなる政策を提案するか、のほうに関心がある。国民に夢と希望をもたすような政党の台頭を待望したい。
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