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2011-04-01 00:00
官民挙げて内外の風評被害と戦え
角田 勝彦
団体役員
東日本大震災に対する全世界からの支援には感謝に堪えない。ただ福島第1原発事故に関しては、内外のおおげさな報道(「汚染列島」などのデマを含む)も続いているため、各国の不安は大きく、農産品を中心とする日本製品や観光・運輸・投資などに関する国際的風評被害が広がっている。米国では、ハワイ、カリフォルニア、ネバダ、フロリダ、マサチューセッツ、ニューヨークの各州で「この事故で放出されたとみられる微量の放射性ヨウ素が州内の大気や雨水から検出された」と発表された。健康被害の危険性はないとされるが、米国民の関心は極めて高い。米世論調査会社「ピュー・リサーチ・センター」は3月30日、日本の大震災・原発事故に対する米国民の関心は57%で、多国籍軍のリビア軍事行動の15%などを大きく上回っている、との世論調査結果を発表した。反面、米国及びフランスなどとの対原発事故協力が緒に付いた。3月22日には「事故対応に関する日米協議」が発足した。米軍の活躍はめざましい。31日訪日したフランスのサルコジ大統領は技術支援を表明した。4月2日にはドイツ外相も来日する。
福島第1原発本体の具体的封じ込めは、専門家・作業員の献身的努力に委ねるほかない。政治指導を始め一知半解の評論家の口出しは有害な混乱を招くだけだろう。時間がかかるのはやむを得ない。急務は内外のいわれなき不安の鎮静化である。とくに誤報(意図的なものもある)は論外として、放射能汚染についての誤解を減らす努力である。 この関連で、各国及び国際機関の慎重な行動が望まれる。例えば 国際原子力機関(IAEA)のフローリー事務次長は3月30日、ウィーンで記者会見し、福島第1原発の北西約40キロにあり、避難地域に指定されていない福島県飯舘村で高い濃度の放射性物質が検出されたとして、住民に避難を勧告するよう、日本政府に促した。
これに対し内閣府の原子力安全委員会は3月31日、「国内では総合的に判断しており、現状の判断に問題ない」という見解を示した。経済産業省原子力安全・保安院も31日、飯舘村での累積放射線量を試算した結果、「いま避難する必要性はない」との見解を示した。同委員会によると、日本では、空気中や摂取する飲食物に含まれる放射性物質の濃度などを測定し、人体への直接的影響を評価しているので、より正確な由である。事実、同村では水道水から国の基準を上回る放射性ヨウ素が検出され、21日から摂取制限をしてきたが、29日から乳児の規制値(1キロ・グラムあたり100ベクレル)を下回ったため、4月1日に制限を解除することを決めた。IAEAは19日「日本の厚生労働省は福島県産の全ての食料品の販売停止を命じた」 との誤った情報を発表した経緯もあり、その行動により慎重になることが望まれる。とくに避難地域の拡大(理屈では40キロ圏になろう)勧告は、各国が自国民に行ったものと異なり、日本国民を対象とする点で越権の疑いもある。現在でも避難指示・勧告の対象になった地域住民の苦労は計り知れない。
サルコジ大統領は、3月31日の会談で、フランスが議長国を務めるG8会議の冒頭に菅首相から事故について報告してほしいと要請し、菅首相は「事故を再発させないためには、世界に経験を正確に伝えるのが日本の義務だ」として、受け入れた。これを含むあらゆる機会を通じ、世界に今次事故による汚染の程度をわかりやすく伝えることが、官民の責務だろう。
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