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2011-04-16 00:00
(連載)復興のビジョン策定は、拙速を避けるべし(2)
角田 勝彦
団体役員
同じような論説に遷都論がある。「関東の東京は地震の危険が大きいから、首都を京都にでも移そう」と言うのである。3月11日の大震災では東京は震度5強で済んだが、東京直下型大地震があれば、日本に大打撃を与える危険のあることは、いつも言われている。首都機能の分散(あるいは重複配置)の必要性は、与野党の一部で現在強く主張されている。
このように遷都論はもっともに聞こえるが、問題は地震列島日本には安全な場所がないことである。安全と思われていた神戸は、阪神淡路大震災に見舞われた。東海・東南海・南海大地震の可能性は、東北大地震の可能性より大きいと言われていた。大震災以降、富士山、箱根山を含む全国20火山での地震活動が活発化している。歴史的には巨大地震から数か月後に火山が噴火した例がある。
ロバート・ゲラー東京大教授(地震学)は4月14日付の英科学誌『ネイチャー』電子版に「日本全土が地震の危険にさらされており、特定の地域のリスクを評価できない」として、国民や政府に「想定外に備える」よう求める論文を発表した。同教授は「マグニチュード8クラスの東海・東南海・南海地震を想定する現在の地震予知研究では、他地域での大地震の可能性を想定外に置く危険性がある」と指摘している。複数の研究機関で、「東日本大震災の震源域の東側で、早ければ1か月以内に津波を伴うマグニチュード(M)8級の巨大地震が再発する可能性が高い」との分析がある現在、「想定外に備える」よう求めるゲラー教授の主張には妥当なものがある。
しかし、「地震国日本の宿命」と無常観に埋没するわけではないが、人間の可能性は自然の前では限界があると認めるほかない。想定は出来ても、備えることが出来ない自然現象・事象があるのである。復興ビジョンの策定に当たっては、原発安全神話を含め、この基本的認識の討議あたりから始めねばならないのかも知れない。(おわり)
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