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2011-04-27 00:00
原発を全廃し、災害抗堪性を高めるための投資をせよ
河東 哲夫
元外交官
最近、政府がやっている議論を見ると、どうも現状維持の方向、つまり「一度決めた予算は実行しなきゃ」的な惰性が支配的になってきた感じがする。直下型地震の可能性が指摘されている浜岡原発とか、西風が吹いたら首都圏があぶなくなる石川の原発とかは、首都圏の都合ばかり言って申し訳ないが、もう全廃してもらわないと、危なくて住んでいられない。ちょっとしたテロを一発食らっただけで、またあの「建屋の爆発」とか、「汚染水の海への流入」とか、半径20KM内の強制疎開とか、を見せられるのかと思うと、やっていられない。
天然ガスの値段は下がっているし、環境汚染の少ない石炭発電も開発されているし、そのうちには水素を安価に抽出する方法も開発されるだろう。原発はあと5年くらいで全廃する計画を作って欲しい。そのための支出なら、国債を発行してでも、新たな税を作ってでも、出すべきだし、けっこう有効需要を作り出して、税収を増やすのではないか。京都議定書が定める二酸化炭素削減は達成できなくなるかもしれないが、だったら原発全廃を世界に提案し、ついでに京都議定書の見直しも提案するようなガッツとはったりを持てばいいではないか。核融合については、よく知らないので、ここでは触れない。ここは、日本の外交官がどうのこうのという問題ではなく、それこそ政治家が主導するべき問題だ。
「一度閣議決定をし、予算ももらったら、何が起きても見直しなし。ただ進むのみ」というのは、官僚の論理だ。「一度決まった予算」に群がる既得権益に、別のオプションを提示しよう。原発の立地を認めることで、多くの収入を得てきた県には、別の事業を提示しよう。そのためには、シンクタンクなどが既存のパラダイムの外にある政策を周到に練り、政党に売り込んでいく必要がある。復興ということで、今やってほしいのは、原発全廃計画の策定だ。他に、日本経済の災害抗堪性を高めるための諸投資もある。
たとえば、つぎのようなものがある。このようなメッセージを発しておかないと、日本企業がいくら速くサプライン・チェーンを回復して見せても、日本の株は恒常的に売り、ということになっていくだろう。首都圏直下型地震の可能性さえささやかれているのだから。
(1)首都圏の交通・通信網が破壊された場合、最も重要な首都機能を代替できる都市の整備
(2)ドイツのように政府の機能をいくつかの地方都市に分散すること
(3)本社のデータをすべて備え、危機の際には本社機能を発揮できる「地方本社」の設置
(4)通話が集中しても、切れない電話網の整備
(5)大企業幹部のための社用自家用機の普及と地震の際にも着陸可能な小型空港の整備
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