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2011-04-28 00:00
首都直下型地震に備えて緊急支援拠点の策定を
角田 勝彦
団体役員
原発事故を含む東日本大震災からの復旧・復興にかまけ、ほかのことを考える余裕に乏しいこの頃であるが、地震列島日本のなまずは、これで一休みしている訳ではないらしい。とくに気がかりなのは、首都直下型地震である。2005年2月の政府の中央防災会議の想定によれば、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生した場合、死者は約1万1000人、負傷者(重傷者を含む)は約21万人、全壊・火災焼失する建物は約85万棟、建物・インフラ被害などの直接被害に生産額の低下といった間接被害を加味した経済被害は、約112兆円に上るといわれる。政府の地震調査委員会では、南関東一帯で今後30年間にマグニチュード(M)7級の地震が起きる確率を70%と評価していた。大震災後の 4月13日に開かれた超党派の「危機管理都市推進議員連盟」の会合で、講師の石橋克彦神戸大名誉教授(地震学)は「3月11日の後、首都圏直下型地震の危険性はかなり高まり、大地震が日本全域で起こりやすくなっている」と警告した。
4月22日の東京大地震研究所の研究グループの発表によれば、今次大地震の影響で、茨城県南西部や東京湾北部、静岡県東部などの地域で地震が起こりやすくなっている。政府が想定する首都圏直下型地震の震源域も含まれ、注意が必要である。3月11日東京での震度5強の地震は、首都直下型地震の実地演習としてさまざまな教訓を与えた。良かったのは、現行建築基準の正しさが立証されたことである。東京より震源地に近い場所でも、建築物はほぼ無事だった(津波と火災は別)。高層ビルのガラスが砕けて路上に降り注ぐという事態も起こらなかった。建築物については、現在個々の物件について個別チェックが行われていると考えられ、かなり安心できよう。火災については、とにかく防火と消火に努力するほかないだろう。
問題と思われるのは、帰宅困難者対策である。3月11日帰宅に困った人は多い。2度と同じ経験はしたくない。自粛は景気に悪影響を与えると言われても、余震が続く間は外出を控えたくなるのは当然だろう。逆に、多少の地震でも、身の安全や帰宅が保証されれば、外出や観光の意欲も出てこよう。とくに外国人を含む土地不案内者にとっては、しかりである。地震の際、移動はどうしても困難になる。JRが長時間運転を見合わせたことが非難されているが、安全の確保上これはやむを得なかったと思う。それに、国土交通省は4月20日、大地震が発生した際の鉄道の運転再開方法について、一定のルール作りを目指すため、首都圏の12鉄道事業者をメンバーとする協議会を設置し、東京・霞が関で初会合を開いた。最善が模索されよう。
至急対策が必要なのは、帰宅困難者である。とにかく大量の帰宅困難者・避難民が出ることが予想される。首都直下型地震の場合、震度5弱以上とされる地域の人口3680万人のうち、地震の一日後に最大で700万人が避難すると想定されている。3月11日には、ホテル、デパート、病院などが善意で施設を開放し、帰宅困難者に一夜の宿を提供した美談を聞くが、他面、とくに都心外では、防災拠点となる学校や病院、自治体の庁舎など公共施設の解放が迅速でなく、また徒歩の帰宅困難者に周知されなかったとの非難もある。政府並びに地方公共団体は、民心の安定のためにも、実際の地震の場合の人的被害を少なくするためにも、全国(東海・東南海・南海地震の危険もある)に緊急支援拠点(民間施設も含める制度)を至急策定して、国民に周知徹底すべきである。これに必要なのは行政の智慧と決断のみである。
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