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2011-05-01 00:00
(連載)注目を要するイラクの動向とイランの影響力(1)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
国際世論の目がリビア、シリア、イエメンといった最近の動乱に向いている中で、アメリカン・エンタープライズ研究所のフレデリック・ケーガン常任研究員と軍事問題研究所のキンバリー・ケーガン所長が、イラク情勢への注意を呼びかける論文を『ウィークリー・スタンダード』誌に寄稿した。「アラブの春は中東全土で民主化を進める大いなる機会である。しかし他方で、力の均衡の崩壊によって、イランが湾岸地域からさらに広い範囲にわたって、影響力を拡大しようという野心を抱くようにもなる。よって、イラクに安定した強固な民主主義が確立されれば、アラブの春の運動をより好ましい方向に導くことができる」と述べている。
両ケーガン氏は「イラクでの戦争終結を最優先し、米・イラク関係は非軍事分野に集中すべきだ」という考え方を批判している。実のところ、アメリカとイラクの非軍事分野での関係発展は充分に進んでいないのに対し、イランは貿易と投資を通じてイラク統治への影響力を着実に浸透させているが、そうしたイラン企業の多くはイラン革命防衛隊とつながりがある。さらにイランは、アメリカが注目していないイラクの指導者達との関係を深めている。両氏は「アメリカがイラクとの二国間関係を発展させるにはソフト・パワーだけに依存するわけにはゆかない」と主張する理由である。
また、「アメリカの平和維持軍が引き続き駐留することが、アラブ人とクルド人の平和的関係をもたらす。イラクの治安部隊は、依然としてイランの支援を受けた民兵やアル・カイダのようなスンニ派の反乱分子を抑えるだけの力を備えていない。サダム・フセインの失脚以来、アメリカはそのようなイラクの治安問題への対処に大きな役割を果たしてきた」とも述べている。よって、私は「イラクの治安維持のためにも、オバマ政権はイラク統治に心理的に関与し続けるべきだ」という両氏の主張に同意する。外交問題評議会のマックス・ブート上級研究員も「我々はコソボ、韓国、その他イラクよりもはるかに安定した紛争終結地域にも駐留を続けている。イラクにも駐留し続ける必要がある」と述べている。
中東と中央アジアでのイランの野望を阻止するためにも、政治と軍事でのアメリカの存在が重要である。イランは特に湾岸地域での影響力の浸透を図っている。シーア派が人口の多数を占めるバーレーンも、イランの主要な浸透目標である。バーレーンでイランは、ヘズボラが扇動する反乱を支援し、アラブ王政諸国とアメリカを向こうに回して緊張を高めている。(つづく)
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