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2011-05-02 00:00
(連載)注目を要するイラクの動向とイランの影響力(2)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
イランが支援しているのは、ヘズボラのようなシーア派の過激派だけではない。アル・カイダに代表されるスンニ派のネットワークも、イランから多大な支援を受けて、中東全土で破壊活動を進めている。『ウィークリー・スタンダード』誌のスティーブン・F・ヘイズ上級論説員と民主主義防衛財団(FDD:Foundation for Defense of Democracy)のトマス・ジョスリン上級研究員は、イランとアル・カイダの関係についてつぎのような証言を紹介している。
2009年には、サウジアラビアのナイェフ・ビン・アブドゥルアジズ王子が、オバマ大統領の対テロ戦略主席顧問を務めるジョン・ブレナン氏に「イランがサウジアラビア人を招いて、サウジアラビアでの反乱を扇動していた」と語った。2007年には、エリック・エーデルマン国防次官補とアフガニスタンのハミド・カルザイ大統領が「イランはアフガニスタンの反乱分子に小火器を提供している」との見解で一致した。さらに重要なことに、2008年には、マイケル・へイデンCIA長官が「そうした支援はイラン現体制の『最高レベル』の人物からの同意の下に行なわれている」と述べた。
イランがテロリストや過激派と築き上げてきた関係を考慮すれば、イラクの安定は、モロッコからパキスタンに至る中東全土の政治変動の成功と相互依存関係にある。テロリストのネットワークは非常に大きく広がり、しかも専制体制と非常に深く関わっているので、「我々は、イラクとアフガニスタンに力を集中し、リビアとか、シリアといったアラブ独裁国家には手を出すな」という主張は、全くの間違いである。アメリカの存在とその指導力は、「アラブの春」を支援して、テロリストを打倒するために、必要不可欠である。オバマ政権がリビアでとっているような過剰に謙虚な姿勢は、イラクとアフガニスタンでの対テロ戦争にマイナスの効果を与えている。よって私は、『ワシントン・ポスト』紙のチャールズ・クローサマー氏が述べるように「背後に隠れてのリーダーシップは、リーダーシップではない」と見なしている。
そうした中で、統合参謀本部長のマイケル・マレン海軍大将「今年12月以降に駐留する米軍の規模については、イラクのヌーリ・アル・マリキ首相が数週間中にも表明する」と述べた。米軍の地位に関するマリキ首相と米国のこれまでの協議では、過激シーア派の指導的地位にあるモクタダ・サドル師への対処が重要な議題となっている。イラクの動向には注目すべきである。民主化の進展と共に、中東での対テロ戦争も、核不拡散も、ここから始まったのだから。(おわり)
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