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2011-05-21 00:00
中東和平に向けた米国の路線転換を支持しよう
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
このたび米国のオバマ大統領が、中東和平に向けて「イスラエルの国境を1967年の第3次中東戦争の前まで戻すこと」を提案しました。これは大きな決断であると思います。今から44年前、あの片目のダヤン国防相が指揮してパレスチナを軍事占領して以来、米国の中東政策は一貫してイスラエル擁護路線であり、アラブ・イスラム諸国の反感を浴びてきました。今さら、イスラエルの建国自体に文句を言っても始まらないので、とにかくイスラエルとパレスチナが共存・共生する道を求めるしかありません。1967年以来、軍事力で占領し、パレスチナ住民を追い出し、入植者を送り込んで実効支配するというのは、1945年以来、北方領土においてソ連が日本に対してしている仕打ちと実に似た状況です。
私は、日米同盟は、日本にとって全く正しい選択と考えます。しかし、その同盟国米国の対イスラエル政策は誤りだと考えます。今回のオバマ大統領の発言は、戦後の米国の伝統的な外交政策からの大きな路線転換であり、それは大変な英断であると思います。日本政府は、直ちにオバマ大統領への支持を表明してください。オバマ大統領の和平提案を強力にサポートしましょう。ロシアとの間に北方領土問題を抱える日本にとっては、大変意味のある意思表明にもなると考えます。オバマ政策の支持を世界各国に訴え、平和に向けた日本のイニシアチブを発揮しましょう。
ウィキリークスからの情報であるため真偽のほどはわかりませんが、「日本政府には、北方領土問題解決のため、ロシアに立ち向かう意思と計画性を持った政治家が、過去も、現在も一人もいない」と米国政府のどなたかが言ったそうです。この言葉は、私の心にグサリと来ました。日本外交としては、ソ連の軍事力行使による占領とその後の実効支配というロシアの領土侵害に対しては、明確で普遍的な反対の意思と姿勢を貫くことが重要だと思います。そのような外交方針を計画的に実践してゆかないと、尖閣諸島や竹島の問題に関しても、後で尾を引く恐れがあります。
それにしても、イスラエルのネタニヤフ首相は、オバマ大統領に対して、「空想に基づく和平は、中東の現実に打ち砕かれる」と反論したそうです。そのように、米国の歴史的な和平提案を「空想」として退ける考え方では、イスラエルはアラブ諸国と永久に、どちらかが滅びるまで、争う現実を好んでいることになるでしょう。5000年以上の昔から、戦乱に明け暮れてきた中東の歴史から卒業することを考えるべきです。日本人には、過去を「水に流す」という思考があります。ユダヤ人にも耳を傾けてほしいものです。
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