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2011-06-13 00:00
(連載)早急に新しい原子力安全基準を策定せよ(1)
角田 勝彦
団体役員
大震災後3ヶ月が過ぎた。居座り首相と無力野党の綱引きで、特例公債法案さえ成立の目途が立たず、復旧も遅れている。5月27日のG8宣言では「(日本国民の)勇気と尊厳に、各国国民は称賛と敬意を示した」と評価されたが、そのような世界の支援にも、とくに原発事故関係でかげりが見え出した。日本の農水産品などの輸入を規制したり、日本への旅行を避けていることに加え、安全基準の不十分さや放射能垂れ流しへの批判が生まれてきているからだ。日本は、6月下旬の国際原子力機関(IAEA)閣僚会議の討議などを通じ新たに策定される国際的な原子力安全基準については、最も厳しいレベルのものを受け入れる旨表明すべきである。と同時に、その基準に合った日本国内の原発については、定期検査からの再稼働に踏み切り、福島原発事故以来のエネルギー政策の世界的混乱にひとつのけじめを付けるべきである。
脱原発論者といえども、原発の即時全面廃止が不可能なことは理解しているはずである。次世代のエネルギー・ミックスがどうなるかは科学技術の進歩によるところ極めて大で、予測困難であるが、感情的反原発運動から移行期に不必要な混乱が生じることは望ましくない。我が国の場合2011年夏に運転再開が間に合うはずだった原発は、震災被災地を除いても11基あり、全国で25基が夏場に運転しているはずだったのが、事故を踏まえた安全基準を政府が出さなければ、定期検査後の運転再開を認められないという自治体の理解を得ることが困難で、実際は14基にとどまる見込みなのである。来年はゼロになりかねない。
G8は福島原発事故を教訓に原発の安全性強化を図る方針で一致し、原発新設が進む新興国も含め、国際原子力機関(IAEA)の安全指針の活用を促すことも宣言に明記した。なお、現行の基準には拘束力がない。IAEA作成のガイドラインをもとに各国が国内法を整備することになっている。
他方、5月下旬事故調査のために来日したIAEA調査団は6月初め「津波と地震による複合災害への対応が不十分だった」ことを指摘し、「東電をはじめとする事故対応の当事者間で、責任の所在などの共通認識が欠けている」と分析した、報告書概要版を発表した。また日本政府は、6月7日、事故調査報告書(概要版40頁、正式版750頁)をIAEAに提出したが、このなかで、日本政府は、原子炉などの「設備」、原子力安全・保安院などの「体制」、避難指示や国際社会への連絡など「対応」のそれぞれについて、深刻な不備があったことを認め、28項目の安全強化策を打ち出しているが、「原発事故の直接の原因はマグニチュード(M)9.0の地震ではなく、津波である」としている。(つづく)
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