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2011-06-28 00:00
(連載)50年、100年先の日本像を考えてみたい(1)
吉田 重信
china watcher 研究所主幹
政局がらみの話題しかない世相の中で、あえて50年、100年先の日本像を考えてみたい。読者のコメントを頂きたい。現在、日本の基本的条件は、国土が38万平方キロ(世界で第61位)と小さく、人口は、1億3000万人で、決して小さくはない(世界で10位)が、その人口は今後50年以内に9000万人に、百年以内になんと4000万人に減少すると予測されている。かつて日本が「大日本帝国」として隆盛を誇ったときには、海外に領土を拡張し、列強諸国の一翼として覇を争ったこともあったが、それは今や「昔日の夢」である。過去において、日本は軍国主義・帝国主義の道を歩み、結局失敗した。21世紀において、日本は過去の失敗を繰り返してはならない。今後の日本が歩む道は、中小国として生きる道しかない。
「小ささ」や簡素化は、実は日本文化の優れた特徴である。その例は、日本の茶室、盆栽、根付など枚挙に暇なく、また、近年ではナノテク(極小技術)の分野で他国に追随を許さない優れた能力がある。将来の国際社会の特徴は、米国のジョセフ・ナイ教授が予測するように、軍事力の比重が相対的に低下する一方で、経済力を中核とする総合的なソフト・パワーの比重が増加し、また、多角的なネットワークをもつ国家が隆盛することにある。
このような国際社会において、日本としては、できるだけ多くの諸国と友好をはかり、武力ではなく、経済力を含む文化力を発揮することによって、存立をはかるしか、選択の余地がない。この観点からみると、日本は、東に世界で最強、最富裕な科学技術大国米国を、また、西に世界最大の人口大国であり、復興期を迎えた古い文明大国中国を、「両手に花を抱える」ようにして抱えている。この日本の地理的条件を活かすかとが肝要である。地下資源が少ないことは障害にはならない。必要なのは、明確な国家戦略、つまり、夢である。日本人の総合的能力や国家・社会制度の優れたところについては、日本人自身の自己評価は一般的に高くない。この結果、日本人は必ずしも自信と余裕がなく、ややもすれば劣等感に悩まされている。しかし、統計数字や海外の調査機関の評価によれば、日本の国際的な評価は極めて高い。
たとえば、世界で平和で安全な国の番付では、日本はアイスランド、ニュージーランドに次ぐ、第3位とされている。また、日本女性の寿命は、世界一長く、日本男性のそれは、香港に次いで世界第2位である。寿命の長さは、人間の生活環境のレベルを示すので、日本人はもっとも安全で好ましい環境で生活していることを物語っている。また、2009年、『ニューズ・ウイーク』誌が調査した世界の有識者の評価では、日本の総合的な競争力と幸福度は、世界第9位であり、人口5000万人以上の諸国の中では第1位とされている。このほか、日本の優位を示す調査報告は多い。このように日本は、知能立国として存立していく条件を十分に備えていると考えてよい。好ましい日本の将来像としては、人口は少ないが、一人一人が才能を存分に発揮する国家ということになる。この分野には芸術をも含む。(つづく)
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