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2011-06-29 00:00
(連載)第1回「米中アジア・太平洋協議」と日本(2)
角田 勝彦
団体役員
軍事面では、核弾頭数200~300と推定される中国は、既にロシアと並び米国に対し相互確証破壊(核ミサイル)の能力を持つ。その他の面でも、次期米国防長官に指名されたパネッタ中央情報局(CIA)長官は6月9日の上院軍事委員会の指名公聴会に提出した書面で、中国軍が台湾有事における米軍の介入を阻む能力の向上を進めているとし、動向を「注意深く監視し続けるべきだ」と証言した。また中国軍が「高度な武力衝突に短期間で勝利するための能力獲得を進めている」と指摘し、核戦力の近代化や宇宙、サイバー空間における攻撃能力の向上にも警戒感を示した。一方で、米中両軍間での関係強化に意欲も示した。
米国には、党・政府による人民解放軍の統制が十分でないと見る向きもあり、7月にはマレン米統合参謀本部議長が訪中し、人民解放軍指導部とのパイプづくりを目指している。
急激な軍拡でこのような力をつけてきた中国との軍事的対決は、米国にとり論外である。「誤解と誤算に基づく衝突リスク(クリントン国務長官)」も最小限にしなければならない。財政悪化で今後12年間に4000億ドルの国防支出圧縮を目指すオバマ政権として、最重要地域のアジア・太平洋のためにせよ、軍拡競争も避けたいところである。他方、南シナ海に関する中国の強硬姿勢(たとえば「核心的利益」であるとの主張)は、原則論からも、領有権を中国と争っている友好国との関係からも、受け入れ難い。対話強化が選択されるゆえんである。
キャンベル次官補は、米国が「国益」と位置づける「航行の自由」などを念頭に「我々の指針となる戦略的な原則を再び強調した」と説明し、「すべての当事者間の対話を求めている」とも述べ、平和的解決の必要性を強調した。中国は「米国は当事国ではなく、介入する必要はない」と主張したとされるが、周辺国が対抗策をとったりすることにも鑑み、ベトナム海軍艦艇との合同巡視(6月19日から20日にかけベトナム・トンキン湾)なども行った。中国で国家政権転覆扇動罪に問われて服役していた著名な人権活動家、胡佳氏が6月26日未明に出所したのも、対米融和策の一環と見られる。中国も自制しているのである。(つづく)
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