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2011-07-05 00:00
菅、松本は即刻辞任して、被災者にわびよ
杉浦 正章
政治評論家
日本中が同情し、慈しみ、「がんばれ」と言う言葉すら「かえって負担になる」と使わないほど気を遣っているときに、言語道断の脅迫・差別発言だ。このような人物を復興担当相という最重要ポストに就けた首相・菅直人の任命責任は重大だ。被災地のことを思えば、もう「辞める」「辞めない」で国会の空白を作っている時間はない。政権の手詰まり感は極まった。地元も不信感が募り、もう本格復興はこの政権では無理だ。菅も復興担当相・松本龍も即刻辞任して、国民に不明をわびよ。
報道ステーションの古舘伊知郎が、松本の就任時の「民主党も、自民党も、公明党も嫌いだ」発言を「これだけ政治家らしい発言は聞いたことがない」と激賞したが、筆者は逆に「この男は異常だ。大失言をする」と直感した。7月3日の発言をみると、一国の閣僚とは思えないほどの上から目線で、脅迫と差別意識に満ちている。岩手県知事・達増拓也を「コンセンサスを得ろよ。そうしないと何もしないぞ」「知恵を出したところは助けるけれど、知恵を出さないヤツは助けない」と脅す。宮城県知事・村井嘉浩には「お客さんが入ってくる時は、自分が入ってからお客さん呼べ。いいか。長幼の序がわかっている自衛隊なら、そんなことやるぞ」とすごむ。松本は「知恵を出せない被災者」を切り捨てるつもりなのか。この緊急時に自分は「客」のつもりで県庁を訪れたのか。長幼の序の用語も使い方を間違っている。長幼の序とは、長じたものは幼い者を慈しみ、幼い者は長じたものを尊敬する、という儒教的思想に基づいており、守るべき順序をいう。自衛隊の上下関係の規律や主従関係とは異なる。そもそも自治体と政府は対等だ。地方自治制度の基礎も知らない。極めつけは同席した記者らに「書いたら、その社は終わりですからね」と三流やくざのようにすごんだ。だらしがない記者たちはおじけづいて、「はい」「はい」と答えたが、社を代表して取材していることを忘れている。
「それはおかしい」と即座に反論すべき場面だった。おまけに「九州の人間ですけん、語気が荒い」「ちょっとB型で、短絡的なところがあって、私の本意が伝わらない」は、明らかに九州人とB型の人に対する差別発言だ。九州人はよく知っているが、語気など荒くないし、言葉遣いも思慮深い。血液型で性格が占えるなどという迷信を信じているのは、公人として不適切だ。要するに、「何様だ」ということだ。この人物のこれまでの人生は、脅迫と差別に満ち満ちていたのであろうか。その性格がスポットを浴びて露呈したのだ。任命権者である菅の責任が一番重い。菅は復興相人事で打診した政治家からことごとく就任を断られ、仕方なく防災担当相の松本を就けた経緯がある。そもそも菅は3月に、自民党総裁・谷垣禎一に電話で震災担当相就任を要請したときには、最重要視していたポジションだ。それを「選択肢がない」からといって、ろくろく仕事もしていない防災担当相に割り振るという、いいかげんな人事を行ったのだ。そのツケが直ちにはね返ってきたことになる。
野党は一斉に反発しているが、菅と松本が辞任しないのなら、7月6日の集中審議で徹底追及せよ。質問者も、かったるい東北出身議員ばかりに固定せず、エースを立てるのだ。松本はこの調子だと、必ず第2、第3の失言をする。これをてこに菅と松本の問責決議案を提出せよ。必ず可決されるだろう。可決しても辞任しない場合は、審議拒否などせずに、むしろ審議をして、その破廉恥ぶりを白日の下に照らし出すべきだ。必要な法案の審議も促進すべきだ。菅が解散に踏み切るなら、受けて立てばよい。敵失で自公政権が復活するだろう。九州の人間もB型の人間も民主党には投票しない。それにつけても、読売の「編集手帳」は大傑作だ。松本をイヌのような言葉遣いの政治家に例えて、最後に「イヌのような・・は礼を失していよう。世のイヌ諸君、ごめんなさい」とやった。朝日も社説で「こんな人では心配だ」と指摘している。「悪言の玉は磨き難し」、確信犯は除去せねばならない。
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