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2006-09-11 00:00
中国の反日宣伝
大藏 雄之助
評論家
今月の初めの1週間、中国を訪問した。1年前に北京を訪れたときは1泊2日の日程で何も見る機会がなかったので、今度は2年後のオリンピックの準備を含めて町をゆっくり見物し、また何人かと最近の日中関係について話し合った。みんな友好的で、経済協力の拡大を要望され、靖国神社のことはほとんど話題にならなかった。
驚いたのはテレビのものすごい反日宣伝だった。私の泊まったホテルはどこもCNNやBBCは入っていなかったので、CCTV9という英語チャンネルを見ていたが、ニュースとドキュメンタリーの大部分がその種の内容だった。(多数の中国語番組の事情はわからない。)
特に9月2日は大日本帝国政府が連合国に対して東京湾で正式に降伏文書に調印した記念日だったために、戦勝祝賀の盛大な花火に始まり、日清戦争以来の日本軍の侵略を詳細に報道した。その中には “National Anthem”(「国歌」)と “Cloud-veiled Moon over 1,000 Miles”(「千里の国土を照らす月は雲に覆われぬ」)という2本の劇映画が部分的に挿入されており、それがモノクロなので古いニュース映画と区別することが困難だった。
また、いわゆる従軍慰安婦問題や強制連行重労働事件の裁判はどれも補償が認められなかったものであるが、それに関連するデモや弁護団の弾劾、元日本軍兵士の遺憾発言、学生らの反省・謝罪の弁等、日時が明らかにされておらず、全部で何件に相当するのかも曖昧だった。
この放送の狙いが欧米の旅行者にあることははっきりしている。彼らは事実については何も知らないから、何度も繰り返して残虐な映像を見せられ、解説を聞かされば、そのまま信じてしまうだろう。それを帰国後近親者や友人に語り聞かせることによって、日本を糾弾する国際世論が形成されていくとすれば末恐ろしい。このことを中国政府に抗議しても始まらない。日本も第三国の政府・国民に対して情宣活動を強化すべきだ。
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