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2011-07-22 00:00
海江田が脱原発左傾化政権の防波堤だ
杉浦 正章
政治評論家
剛直で、君主に対してはばかることなく直言する家臣を「骨鯁(こつこう)の臣」という。忠言をのどに刺さった魚の骨に例えたものだが、その魚骨が今の経産相・海江田万里の姿だ。余りにひどい首相・菅直人の思いつき政治を諫(いさ)め続けている。しかし、閣僚として最終的には首相に従う立場は維持せざるを得ず、「諫めて逆らわず」できつい立場だ。だから、手のひらに「忍」の一字を書き、これを見ながら、震えたつほどの怒りを抑えているのだろう。しかし、極左とつるんで、思想的にもその影響を受けている、という底知れぬ闇が浮かんだ菅と、海江田の戦いは、まさに正邪の戦いでもある。ことごとく海江田が正しい。
長い間政治記者をしているが、7月21日の予算委員会で首相を隣に置いて、諫める閣僚を初めて見た。脱原発をめぐって閣内の亀裂が露呈したことになる。まず海江田は、司馬遷の言葉「死は泰山(たいざん)より重く、死は鴻毛(こうもう)より軽くす」を引用した。昔軍部が活用したから印象はよくないが、海江田は「脱原発依存」発言をしながら「個人的な考え」と逃げた菅を戒めたのだ。「総理の言葉は、内閣一致の上なら泰山より重いが、内閣一致でなければ私人の発言であり鴻毛より軽い」と断じ、「首相の発言だけは、泰山よりも重いものであってほしい」と諫言したのだ。質問者が「いっそ即刻辞任したら」と水を向けると、海江田は「その方が男が上がると言う声もあったが、男が上がろうと上がるまいと問題ではない。東電事故の被害者救済の機構法案の成立を心から願っているので、その責任だけは果たしたい」と答えた。会場に与野党から拍手がわいたほどだ。26日には衆院を通過する原子力損害賠償支援機構法案が参院で成立したら、辞任に踏み切る心境のようだ。
さらなる重要問題でも、海江田は菅を諫めた。菅が、7月13日の記者会見で脱原発を表明すると、電話で海江田に伝えたのに対して、「日本という国は、核兵器を持たずに、原子力平和利用の技術開発をしてきた。原発がゼロになるとその技術が途絶えてしまう。多角的に議論した方がいい」と忠告したことを、委員会で明らかにしたのだ。付け加えて、「私は総理から任命されており、任命権者が記者会見をやるというのに止める手立てはない」と窮状を訴えた。この海江田発言は、菅が広島、長崎で脱原発を訴えようとしていることとも絡んで重要だ。つまり、原発事故は核兵器禁止運動の流れとは本質的に異なるにもかかわらず、市民運動家や極左政党は、卑怯にも両者をごちゃ混ぜにして、反原発運動として盛り上げようとしていることと、符合するからだ。朝日新聞も22日から連載企画記事「原発と原爆」を掲載し始めた。明らかにごちゃ混ぜ路線だろう。菅の狙いもそこにあり、海江田は平和利用に徹してきた日本の姿を強調して、菅の姿勢を戒めているのだ。
原発輸出でも答弁は割れた。菅は、自らベトナムに売り込み、発注を受けているにもかかわらず「もう一度、きちんとした議論をしなければならない段階に来ている」と消極姿勢に転じたのだ。その理由として、菅は「原子力事故を首相の立場で体験し、どれだけリスクが大きいかを極めて強く感じた」と述べたが、事故発生直後には「東日本がつぶれる」と誤判断して腰を抜かし、はちゃめちゃの対応を繰り返してきたことはとんと忘れて、よく言うものだ。これに対して海江田は、ベトナム副首相から「日本の技術を高く評価する。災害の経験を生かした新技術を導入して作ってほしい」との、また、やはり売り込みが進んでいるトルコ大使からは「いまでも日本の技術を信用している」との、それぞれ意思表示があったこと明らかにして、「ベトナム、トルコに特使を派遣したい」と輸出推進の立場を表明した。まさに友好国への背信行為になる事態を海江田がやっと食い止めている構図だ。
同日の予算委では、菅の資金管理団体や民主党が北朝鮮や拉致事件容疑者と関係の深い政治団体に2億円を上回る超巨額な寄付をしていたことが追及されたが、菅は肝心なポイントで「知らぬ、存ぜぬ」を貫いた。脱原発にせよ、拉致問題にせよ、菅の姿勢には極左の影響がある、とうすうす感じていたが、北と「ずぶずぶの関係」にあることが分かった政権では、同盟国米国が信用するわけがない。外相・松本剛明が訪米しても、国務長官・クリントンとのバイの会談が行われないような事態が生ずるわけだ。とんでもない政権に国をゆだねてしまったことになる。
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