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2011-07-29 00:00
(連載)復興増税には宗教法人非課税の是非も検討せよ(2)
角田 勝彦
団体役員
しかし、政府債務が累増する現在、財政再建も国民が忘れてはならない後世への責務である。危機脱出のあとなら負担が増えるのは受け入れねばならない。もちろん、その前提として冗費節減(子ども手当と高速道路無料化見直しによる年6千億円、4年で2.4兆円の歳出削減を含む)や税外収入の積み増し(1700億円相当の東京メトロ株式売却に加え、NTTと日本タバコ産業の株式売却など)は必要である。国会議員の定数削減や歳費削減が話題になったが、現在の国会のていたらくでは、2010年に民主党に171億円、自民党に102億円さしあげた政党交付金も返上していただきたいくらいである。
ただ、それでも足りない。2011年の基礎年金の国家負担の不足分は2.5兆円、B型肝炎訴訟の和解金は当面8千億円余で、復興債10兆円の償還を加えると約14兆円になる。5年でまかなうなら年2.8兆円が必要である。増税はやむをえない。だが、消費税導入のときに議論された、課税の不公平の是正と歳出面における無駄の排除の進展が少ない現在、新規増税に際し宗教法人非課税が議論されないのは釈然としない。全国に18万余もある宗教法人は、現在、様々な税制上の優遇措置を受けている。寄進など宗教活動による収入は非課税で、各地にある立派な宗教施設にも、不動産取得税、固定資産税などはかからない。さらに有料駐車場といった営利事業にも、低い税率が適用されている。
宗教法人は、宗教法人法により、国などへ毎年活動実態等を報告することが義務付けられているが、報告がない宗教法人が激増しているにかかわらず、「信教の自由」を侵害する等の理由で認証取り消しは難しい。平成20年12月公益法人制度改革が全面施行されたが、宗教法人は対象外である。非課税措置があまりにも行き過ぎて、税務当局が宗教法人の所得を把握できていないとすれば、課税の公平性が確保されているとは言い難い。
日本国憲法は第20条、第89条で信教の自由と政教分離の原則を定めている。無宗教を含め個人の信教は自由であり、国は宗教的活動をしてはならない。いかなる宗教団体も、政治上の権力を行使してはならない。物質面でも、国は宗教団体に特権を与えたり、公金等を支出してはならないとの規定がある。しかし、現在の非課税は、逆から見れば公金の支出に等しい。とくに政治上の権力を行使する宗教団体は問題である。何回も挫折した困難な問題であるが、復活増税討議を機会に、政府は宗教法人への課税強化の検討を開始すべきではないだろうか。(おわり)
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