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2011-08-04 00:00
(連載)ノルウェーでのテロ事件と日本 (1)
水口 章
敬愛大学国際学部教授
中東地域では7月23日、カイロで再び市民グループが、改革の進展の遅れなどへの不満からデモを起し、治安部隊と衝突した。中東地域では、イスラム教徒、アラブ人、キリスト教徒などへの帰属意識が強く、国民意識が十分育っていない場合もある。果たして、「アラブの春」で揺れる国々の市民の「国家」への帰属意識は、どの程度のものだろうか。この国家への帰属意識を念頭にノルウェーのテロ事件を考えてみる。
ノルウェーで起きた事件の容疑者アンネシュ・ブレイビク容疑者は、移民受け入れに制限を設けようとする進歩党の活動家で、イスラム系移民問題を犯行動機として挙げている。人口480万のノルウェーでは、1995年から2010年の間に移民人口が3倍になり、約50万人が居住している。
国民国家の境を越えて、人、資金、物、情報の流動性が高まっているグローバル化の結果、先進国と新興国の間で、経済力をはじめとする「国力」の差が縮小するパワーシフトが起きている。このため先進国では製造業が衰退し、新たな成長産業を見出せないところでは、若者の雇用問題が深刻化しつつある。そうなると、経済成長期に外国人移民を労働者として受け入れた国では、自国の労働者と競合する分野での軋轢が高まっている。
ブレイビグ容疑者が敵視したイスラムは、生活規範として信仰者の日常生活行動を規定する面がある。また、外国人移民が有する同郷・同民族などの連帯意識により、国家内に別の国家のような移民地域ができることがある。このため、EU諸国内では、オランダの自由党をはじめ右派政党の台頭が見られ始めている。ブレイビグ容疑者はこのような右派思想の活動家であり、犯行目的は移民排斥だとも伝えられている。(つづく)
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