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2011-08-26 00:00
(連載)福島第一原発事故問題の本質は、津波の高さか?(1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
東京電力が、2008年4~5月に、福島第一原発に最大15メートル超の津波が到来する可能性があるとの試算をまとめていたにもかかわらず、具体的な対策をとっておらず、原子力保安院に報告したのは、事故直前の今年3月7日であったとして、厳しく批判されている。
同試算は、2006年の原発耐震設計審査指針改定に基づいて、保安院が指示した再評価作業の一環として行なわれた。三陸沖から房総沖において、1896年の明治三陸地震(M8.3)と同等の地震が起きたと想定して計算したところ、、福島第一原発に到達する津波の高さは、5、6号機において10.2メートル、1~4号機において8.4~9.3メートル、防波堤南側で15.7メートルなどという結果が得られていたと、報じられている。また、東電が2008年12月に869年の貞観地震を想定した試算を行なったところ、福島第一に押し寄せる津波の想定高さは8.7~9.2メートルとなり、2009年に、保安院に報告していたという。
そこで、東電は、福島第一原発の事故について「想定外の津波によって起こった」と言っているが、実際には試算があったではないか、という批判が寄せられているというわけである。また、こうした試算について公表しなかった保安院の規制機関としての対応の在り方も問われている。
確かに、東電と保安院の対応は褒められたものではない。危機管理体制が甘かったのは間違いのないところである。「原子力村」とも呼ばれる閉鎖的体質は危機管理にも悪影響があるものであり、批判が向けられるのも当然のことである。しかし、今回の報道の例のような、津波の想定高さの予測ばかりに焦点を当てた議論は、本質的といえるか、大いに疑問がある。(つづく)
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