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2011-08-28 00:00
「脱原発」の是非は、経済だけでなく、国防の観点からも検討が必要
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
福島原発事故のあと、菅直人首相は「脱原発」路線を宣言したが、「脱原発」は本当に日本にとって賢明な選択であるのだろうか。これまで経済的得失の観点からばかり議論されているようだが、日本の国防の観点からの議論もあってよいように思われる。私はここで日本の核兵器保有を主張しようとは思わないが、原子力(イコール核)に関する日本の知見や技術は、日本の国防にいろいろな形で貢献してきたし、これからも貢献することが可能だ、という事実は指摘しておきたい。
日本政府は、2004年の防衛大綱の作成に際して、中国海軍の拡張の圧力に鑑みて、原子力潜水艦の保有を検討したことがある。将来において、原子力を推進力とする艦船の保有が日本の国防にとって絶対に不必要であると、今の時点で結論できるであろうか。
世界的な視野で将来の核軍縮や核管理の展望を考えてみても、日本がそのプロセスに関与し、貢献できるためには、日本自身にそれなりの原子力(イコール核)の知見や技術がなければなるまい。
現在のところ、原子力エネルギーとその代替に関する日本国内の議論は、経済にばかり目が向けられているが、国防の観点も忘れてはならない。一度でも原子力発電を廃止してしまえば、その技術と技能の蓄積は、人材のそれを含めて、永遠に失われてしまうであろう。それは、決して日本の真の国益に資するものではないと思うが、いかがであろうか。
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