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2011-08-29 00:00
民主党は「海江田首相」なら自爆路線だ
杉浦 正章
政治評論家
民主党代表選は8月29日、1位が海江田万里になりそうなものの過半数に達せず、2位を野田佳彦、前原誠司の順で争う流れが出てきた。その場合、海江田と2位の候補の決戦投票にもつれ込む可能性が強く、「2位以下連合」で覆せるかが鍵だ。民主党議員は、まさに党の存亡がかかった代表選に臨むことになる。というのも、秋の臨時国会の審議が始まって、新首相が「立ち往生」するまでの期間を分析すれば、海江田万里は「いきなり」、前原誠司は3か月、野田佳彦は半年と予想される。海江田はなぜ「いきなり」かというと、首相としての適格性に決定的に欠けるからである。まず子ども手当破棄の3党合意白紙化に言及しており、野党がいきり立っている。加えて危機管理能力のなさ、政治判断力の欠如は、ルーピー鳩山由紀夫以上であろう。物事を感情論で対応しがちだ。極めつけは刑事被告人・小沢一郎の操り人形となってしまったことだ。これは日本の政治を小沢がろう断することを意味する。今回の代表選は民主党にとって最後の最後の首相を決めるためのものであり、海江田の「立ち往生」は、民主党の終焉を意味する。
小沢による海江田選考の経緯を見れば明白だが、小沢は海江田には最後まで持って行きたくなかったのである。参院議員会長の輿石東や議長の江田五月という特異の人材に打診して断られ、土壇場で海江田となった。そもそも小沢は、海江田について「泣いちゃあ駄目だ」と漏らしており、その駄目な「号泣万里」を選択した理由は、小沢の持論から解ける。海部俊樹を首相にしたときに、「総理は軽くてパーがいい」と述べたとおり、今回も言うことを聞く「軽くてパー」を選んだのだ。小沢は不遜にも、一国の首相の座をもてあそんでいるのだ。その証拠に最近まで「菅以外なら誰でもいい」と述べていた。海江田は、小沢に世間体もなく、臆面もなくひれ伏している。発言から見ても明白だ。「小沢先生のお力を借りなければ、この代表選はおろか、日本の国は救えない」と、国家まで冒涜した。加えて「私は小沢先生の力を存分にふるっていただけるよう、最大限の努力を申し上げる」とまで言いきった。小沢の要求する幹事長人事に応ずる方針を鮮明にさせたのだ。海江田の脳裏には一国の首相としての有り様(よう)などは眼中にない。なりふり構わず小沢にすがりついて首相になりたいという浅ましいまでの権力亡者の姿がそこにある。
「自分の価値はどうでもいいんです」と号泣したはずが、全ての小沢の要求を受け入れて、自らの価値を首相の高みまで上らせようとしているのだ。しかし、政治家が泣いては、限界が露呈する。国会では、大した追及でもないのに、たびたび涙を見せ、8月27日の記者会見でも、小沢との関係を何度も質されると「なんで私ばかりに・・・」と、泣き面を見せた。「私ばかり」が、一番小沢にすり寄ったから、質されていることを理解できない。要するに、政治判断力はゼロなのだ。バブル期の経済評論家時代に、バブル崩壊を予知できないまま、最後まで無責任にも「今株を買わなければ、買うときがない」と民放番組であおりにあおった話は有名だ。重要な点は、経産相として検討すべき浜岡原発停止も首相・菅直人に横取りされ、玄海原発も再稼働寸前に菅に横やりを入れられて、なすすべを知らない。辞任すると怒っても、結局出来ずじまいだ。優柔不断の極みである人物が、日本の首相に適格だと思うのは、小沢、鳩山とその配下しかいない。小沢の狙いは、幹事長・岡田克也が使わずに残した250億円の政党交付金であると言われる。だから、幹事長ポストを狙って、前原が断ると、「軽くてパー」を選択してまでこだわったのだ。
野党は、民主党政権にとどめを刺すことが出来る最高の標的を得ることになる。10月からの小沢裁判が始まり、「政治とカネ」の追及材料には事欠かない。海江田が本来なら小沢に向けられる追及を一挙に引き受けることになる。矢ぶすまの憂き目が目に見えている。また、小沢の指示通りに海江田がマニフェスト維持を言明しているのも、与野党の潮流と正反対の立場となる。8月28日のNHKでも、子ども手当廃止などの与野党合意白紙化に言及した。公党の約束を反故にした「首相」に、野党は間違いなく攻勢を仕掛ける。集中攻撃に、首相がワンワン泣きながらの答弁が展開されては、世界中からの嘲笑の的となる。スタート時の内閣支持率も小沢の操り人形と分かっていては30%がいいところだ。かねてから「新政権は、政権の正統性からいっても、解散すべき」と言うのが、民主党の主張であった。その民主党が3代のたらい回しで口をぬぐうことは許されない。誰がなろうと、遅かれ早かれ「 売り家と唐様で書く三代目」だろう。しかし、民主党がぼろぼろになるのを少しでも遅らせたかったら、決選投票で「海江田首相」の流れを覆すしか手はない。海江田が1位なら「2位以下連合」でひっくり返すしかない。前原は新たな外国人献金が発覚して失速気味であり、野田が2位になりそうだ。その場合「野田首相」を目指した連合で勝負するしか、民主党が生き延びる道はない。全国紙も、読売が「首相の器を見極めよ」、朝日が「政治を前に進める人を」と、海江田に否定的な社説を展開している。
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