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2011-08-30 00:00
(連載)福島に放射能汚染対応国際センターを設立せよ(1)
角田 勝彦
団体役員
菅内閣退陣と野田新内閣発足で、3次補正を中心とする復興計画もやっと軌道に乗りそうである。津波の被害を受けた海岸沿いの農地を3年以内に復旧させることや、生産や流通の拠点となる漁港を2013年度末までに整備する方針を盛り込んだ復興施策の工程表と事業計画は8月26日まとめられている。電力使用制限令も9月9日には解除されよう。しかし、国内面での最難題のひとつの放射能汚染対応は、8月27日菅首相が福島県佐藤知事に「除染を講じても、一部地域では長期間住めなくなる」と述べて陳謝したことが示すように、長く懸案として残ろう。福島第1原発冷温停止、土壌等除染、汚染物質保管など物的対策のほか、子どもを中心とする住民の健康管理等の人的対策も必要である。万一の際の行政上の緊急避難の仕組みも整備されねばならない。これは世界の叡智を結集すべき人類の課題でもある。図らずも汚染源となった日本としては、福島に放射能汚染対応の研究・研修・実験・実践を行う国際的研究所を設立し、現在及び後世の世界への貢献としてはどうだろうか。
8月26日、原子力安全・保安院は、福島第1原発事故で1~3号機から大気中に放出された、半減期が約30年と長い放射性セシウム137の総量は、広島原爆の168・5倍に上ると公表した(原爆と原発を単純に放出量で比較できないとの留保付きである)。なお、チェルノブイリでは広島原爆の400倍との計算がある。国立環境研究所は8月25日、「3月中に放出された放射性セシウム137は、粒子状になって雨に取り込まれ、22%が陸に残り、8割弱が海に降った」と発表した。4月の福島第1原発からの低濃度放射性汚染水の海への放出に関連してか、8月中旬、中国国家海洋局は管轄海域における放射性物質流入の「影響海域は、日本が発表した範囲をはるかに超えている」と主張していたが、これが原因だろう。
3月原発事故発生以降、放射性物質の放出は着実に減少してきた。8月中旬には事故直後の1000万分の1に減少し、1年間の被曝(ひばく)量に換算した暫定値は、原発の敷地境界で0.4ミリ・シーベルトと、来年1月に予定される工程表完了時の目標値(1ミリ・シーベルト以下)を達成したとされる。原因の福島第1原発では、来年1月中旬までに原子炉が安定的に停止する「冷温停止状態」達成に向けて、8月には使用済み核燃料一時貯蔵プールを安定的に冷やす循環冷却を稼働させた。高濃度放射能汚染水浄化のため、米キュリオン社と仏アレバ社の処理装置と組みあわせ、国産新施設通称「サリー」を稼働させた。
しかし、8月29日の文科省検討会で報告された地図によると、6月中旬でもチェルノブイリの強制移転基準を超える土壌汚染濃度の地点が6市町村34地点ある。8月26日決定の「除染に関する緊急実施基本方針」は「国は責任をもって除染を推進する」と明記し、汚染地域の放射線量を年間1ミリ・シーベルト以下にする目標を示した。除染の実施主体は汚染レベルに応じて分けている。すなわち年間線量が20ミリ・シーベルトを超える区域では国、1~20ミリ・シーベルトの地域では市町村、1ミリ・シーベルト以下の地域は住民が行うとしているが、政府が掲げた「2年で半減」の目標が達成されても、帰宅の目安とされる20ミリ・シーベルトをはるかに上回る地域が残るのである。この高線量地域では住民の帰宅は、20年後(つまり実際上地区の消滅を意味)とも言われている。(つづく)
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