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2011-08-31 00:00
(連載)福島に放射能汚染対応国際センターを設立せよ(2)
角田 勝彦
団体役員
8月26日、汚染の著しい地域を国が指定し、地域内の廃棄物処理や土壌の除染を行うことや、処理費用は原子力損害賠償法に基づき原子力事業者が負担し、国も必要な措置を講じることなどを盛り込んだ「放射性物質環境汚染対処特別措置法」が成立した。枝野官房長官は26日の記者会見で、除染費用として2011年度第2次補正予算の「東日本大震災復旧・復興予備費」から約2200億円を支出すると発表したが、専門家が指摘するとおり「除染を短時間で完了する技術や機械は開発されていない」。ただ文科省が土壌の上下入れ替え方式の実験をしたところ、地表の放射線量は入れ替え前の10分の1まで減ったといわれ、福島県内の学校では汚染された校庭の土を取り除く工事も夏休み中急ピッチで進められた。
除去した汚染土壌やがれきの処分場については、国が建設の工程表を早急に作成するが、中間貯蔵施設は現場となる。菅首相は、8月27日、佐藤知事に、福島県で生じたものはとりあえず県内で管理、保管することを要請した。なお、環境省は27日、放射能で汚染されたがれきなどの焼却灰について、一般の最終処分場に埋め立て処分するための新たな指針案を明らかにした。地下水への流出を防ぐなどの措置を取れば、今年6月に示した暫定基準値(8千ベクレル以下)を見直し、灰に含まれる放射性セシウムが1キロ当たり10万ベクレル以下なら可能としたのである。さらに重要なのは、子どもを中心とする住民の健康管理である。目標は、2年後の居住地域の放射線量半減(長期目標は年間1ミリ・シーベルト)と子どもの一日あたりの被曝量の現在より6割程度の低減である。なお、8月17日、政府の原子力災害対策本部は福島県の子ども約1150人を対象にした甲状腺の内部被曝検査で、すぐに医療措置が必要な高い値ではないと判断はされたものの、45%で被曝が確認されていたことを明らかにした。
福島県は26日、全県民約200万人が対象の健康管理調査を本格的に開始し、各個人の被ばく線量を推計するための問診票を発送している。福島第1原発事故は世界に大きな教訓を与えた。脱原発の動きはその最たるものだが、原発維持の諸国もいろいろ研究している。8月中旬、国際原子力機関(IAEA)は世界の原発の具体的な安全強化に向けてまとめた行動計画の草案を明らかにした。各国が原子力安全策を協議した6月の閣僚級会合を受けて作成されたもので、IAEAが各国の原子力規制当局の機能を評価するチームを10年ごとに派遣すると明記し、各国間での事故情報の共有などにも言及している。
我が国も具体的な原発・放射能汚染対応に加え、原子力安全規制組織の変更(経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会などを統合し、環境省外局の組織とする)や事故調査・検証委員会による事故原因の解明等に取り組んでいる。原発・放射能汚染対応で得られる知見は我が国にとどめるべきものではない。8月18日、原子力安全・保安院の深野新院長が初めての記者会見で、低濃度放射性汚染水の海への放出について、国として各国への事前通報義務の認識が薄かったことを認めたが、各国との連絡の充実は風評被害を免れるためにも不可欠である。また汚染防止への各国との協力が有意義であることは言うまでもない。福島はまさに最もホットな、しかも二つとない研究と実験の場である。ここに放射能汚染対応国際センターを設立し、各国よりも人材を集めて研究・研修・実験・実践を行えば、不幸にも汚染源となった日本として現在及び未来の世界に貢献することが出来るのではないだろうか。(おわり)
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