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2011-10-07 00:00
4億円頬被りの小沢は、国会で証人喚問するしかない
杉浦 正章
政治評論家
いくら追い込まれたからとはいえ、一党の実力者がこれほど唯我独尊の暴論を吐いた例をしらない。初公判と記者会見ににおける民主党元代表・小沢一郎の主張は支離滅裂で、「盗っ人猛々しい」とは言わぬが、まさに「被告人猛々しい」の感を強めた。おまけに、核心である土地購入資金4億円の出所には言及をせず、ご都合主義の頬被りを極め込んだ。かくなる上は、偽証罪が適用される証人喚問で政治的、道義的責任を追及するしかあるまい。首相・野田佳彦は応じそうもないから、その突破口は参院の野党多数を活用して、多数決での議決による喚問という荒療治を視野に入れるしかあるまい。小沢は10月7日夜「腰痛だ」として救急車で搬送されたが、深夜の政界は「すわ急病か」と大騒ぎとなった。心臓病の持病があるからだ。それはともかくとして、小沢の主張はまるで昔の全学連のアジ演説のようでもあった。小沢の第1の暴論は、検察の強制捜査について「国民から何の付託も受けていない検察という国家権力が、総選挙の直前に野党第1党の党首だった小沢一郎を抹殺するために、標的にした」という発言であろう。まるで選挙で付託を受けた政治家に「検察は口を出すな」というような発言だ。
検察は国民の負託を受けた内閣が指揮する組織であり、まぎれもなく正義遂行の付託を受けている。「小沢を抹殺するために標的にした」というが、標的にしたのなら弾を外すわけがない。「嫌疑不十分」で不起訴にしたではないか。それ故に検事総長は「小沢に怖じ気づいた」と批判されたのだ。検察幹部が「検察は小沢元代表を狙い撃ちしたのではなく、粛々と捜査した結果、不起訴にしたのであり、批判はお門違いだと思う」と述べているが、まさにその通りだ。小沢は「日本は既に民主主義国家とは言えない。国家権力の乱用だ」と言うが、不起訴の理由は嫌疑不十分であり、小沢は依然として疑惑の人である。この場合、検察は国家権力を乱用したのではなく、まさに正義を行おうとしたのであり、民主主義国家であるからこそ成り立った捜査だ。「国家権力の乱用は、社会的な暗殺。殺人以上に残酷」という発言に至っては、まさに被害妄想のヒステリー症状であろう。弁護団がこの暴言の繰り返しをあえて小沢に勧めたのは、法廷戦術があるのだろうが、狙いは肝心の4億円の出所を言わないで済ませる目くらませ作戦であったのではないか。
おまけに記者会見で国会での説明責任について聞かれると、かっとなって「君はどう考えているの?」と逆質問。記者が「重要なことだと思う」と答えると、勝ち誇ったように「あっ、そうなの。じゃ、3権分立を君はどう考えているの。ちゃんと勉強してよ」とやり込めたつもりで、ふんぞり返った。これは法学部出身でありながら、三権分立の有りようも分かっていないことを露呈した発言だ。三権分立だからこそ、司法の場とは別に、国会で国会議員に不可欠な政治的、道義的責任を質す必要があるのだ。国会議員は一般人とは異なるのだ。自民党の元外相・高村正彦が「有罪、無罪は裁判で判断しても、小沢氏には道義的、政治的立証責任があり、これは国会が果たすべき問題だ」と述べているとおりだ。残念なことに、野田もこの小沢思考にフルに乗ってしまっている。国会で野田は7日、「法廷の場でしっかりと説明責任を果たしてほしい。司法の動きが始まっているときに、証人喚問というやり方が妥当か、慎重に考えるべきだ」と事実上小沢の擁護に回った。
これは元首相・鳩山由紀夫が、小沢不起訴に際して「幹事長続投は至極自然」と擁護に回ったのと、そっくりだ。首相としてのけじめなどそっちのけではないか。自民党総裁・谷垣禎一が「野田佳彦首相と民主党が小沢氏擁護で一致し、疑惑の隠蔽に加担する現況を看過できない」と厳しく指摘しているのは、至極もっともだ。証人喚問は全党一致が原則となっているが、与野党の勢力関係によっては、多数決の議決で喚問が行われた例が、衆議院で3例ある。また山田洋行事件で、2007年に前防衛事務次官・守屋武昌の証人喚問が衆参両院で行われたのは、民主党が参院でねじれを達成して、優位に立って攻勢をかけたことが背景にある。今はそのねじれが逆転しているではないか。参院自民党も、くだらない痴話げんかばかりやっていないで、多数野党をリードして、証人喚問の具体化に乗り出すべきだ。それにつけても民主党は、小沢という“おんぶお化け”が祟りにたたっており、野田も例外ではあり得ず、小沢起因の支持率低下となろう。
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