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2011-10-07 00:00
(連載)アメリカ外交と2012年大統領選挙(1)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
大統領選挙が近づくに従い、外交政策の議論も見てゆく必要がある。9・11同時多発テロ事件10周年と前後して、パレスチナの国連加盟申請、パキスタンISIとハッカーニ・ネットワークの関係に関するマレン海軍大将の議会証言、そしてイランの核遠心分離機の導入といった安全保障を揺るがしかねない政策課題が出てきた。アメリカは外交政策に気を配らずにいられ続けられるのだろうか?先日にはイランが「アメリカ大西洋岸沖に自国の艦隊を派遣する」と表明した。
ここで来る選挙での外交政策の論点に関する識者の論評について言及したい。テキサスにあるSTRATFORというシンクタンクのジョージ・フリードマン最高経営責任者は、オバマ政権の誕生に付随する本質的な矛盾と弱点について、「バラク・フセイン・オバマ氏に投票した有権者は、イラクとアフガニスタンの戦争終結、一国行動主義の停止、社会経済的な不平等の是正、雇用輸出への歯止め、そしてグアンタナモ収容所の閉鎖を期待した。しかしオバマ氏が主張したのは、アメリカはイラクでなくアフガニスタンでの戦闘に集中すべきだということであった。非常に皮肉なことにオバマ氏の多国間主義はアメリカとヨーロッパの溝を埋めるに至らなかった。オバマ氏の期待に反し、彼の政権がヨーロッパ諸国の言い分に耳を傾けようとしても、ヨーロッパ側はグローバルな政策課題への対処で必ずしもアメリカを支援しようとはしていない。ドイツがリビア紛争で『背後から主導する』ことさえ拒否し、空爆にも地上軍派遣にも参加しなかったことは典型的である」と指摘している。
フリードマン氏はさらに、オバマ政権誕生の内政的な要因についても、「バラク・オバマ氏が前回の選挙に勝利したのは、有権者が突然の金融危機に慌てふためいたのが主な原因である。オバマ氏支持層の中核は福祉国家志向で高課税政策を好んでいる。他方で中道派は必ずしも増税に反対ではないものの、国家介入を強めるような福祉計画による政府の肥大化には非常に敏感に反応する。オバマ氏が中核支持層と浮動票層のバランスをとろうとするあまりに、内政に気をとられ、選挙を前にしたアメリカ外交は海外の情勢に受け身になる」と言う。問題は、冒頭で述べているような国外からのショックはアメリカが受け身で対応するにはあまりにも大きなものだということである。
しかしヘリテージ財団のトニー・ブランクリー訪問上級フェローによると、「ジミー・カーター氏がイランでのアメリカ大使館占拠事件とソ連軍のアフガニスタン侵攻によって二期目の選挙に敗れたことを考えれば、そうした関心の低さはオバマ氏にとって望外の幸いである」と言う。にもかかわらずブランクリー氏はReal Clear Politicsという有名ブログへの9月28日付けの投稿で、オバマ氏の外交政策が世界の中でのアメリカの立場を弱めているという深刻な懸念を述べている。(つづく)
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