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2011-10-08 00:00
(連載)アメリカ外交と2012年大統領選挙(2)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
特にロシアと中国への警戒感について、「オバマ氏はメドベージェフ政権の間にウラジーミル・プーチン氏の大統領復帰への準備を怠り、プーチン氏を二番手の首脳として臨んできた。よって大統領に復帰しようとするプーチン氏にとってオバマ氏は好ましい相手ではなくなった。これによってアメリカはロシアと中国のバランスをとるというキッシンジャー流の外交を行なえなくなった。さらにオバマ政権はナショナリスト傾向を強めるクレムリンを前にして、ポーランドとチェコからミサイル防衛システムを撤退させてしまった。中国への融和姿勢をとるオバマ氏には、リベラル派やネオ・リベラル派の間からも懸念の声が挙がっている」と述べている。私は、世界規模での力のバランスとアメリカの安全の維持を考慮すれば、オバマ氏はこの選挙で外交政策を過小に扱うべき立場ではないと思う。
選挙での議論は内向きであるが、外交問題の中にも全米の有権者の注目をひくものもある。イスラエル・パレスチナ紛争はその一つである。パレスチナ自治政府内でイランの支援を受けているハマスの影響力は、アメリカ国民の懸念を強めている。共和党の大統領候補の一人であるリック・ペリー、テキサス州知事は、オバマ政権がパレスチナの国連加盟申請を支持せぬようにと要求を突きつけた。ムーブ・アメリカ・フォワードなど保守派の市民団体が、「イスラエルは中東で唯一の西欧型民主国家である」として「テロとの戦い」の重要な同盟国と位置づけていることは見逃せない。事態はユダヤ・ロビー云々を超えたものなのである。
マレン海軍大将の証言に関して、ウォール・ストリート・ジャーナルのコラムニストであるサダナンド・デューム氏が、「これはアメリカが『テロとの戦い』で裏表のあるパキスタンの態度に業を煮やしていることを示す」と論評している。上院軍事委員会でのマレン証言の直前に、アフガニスタンのブルハヌディン・ラバニ元大統領がカブールで自爆テロ攻撃により死亡した。デューム氏は、「パキスタンがハッカーニ・ネットワークに対してだんことして戦う姿勢を見せなければ、アメリカはパキスタン領内への軍事攻撃を含めた強硬手段に訴えざるを得なくなる」と主張する。オバマ大統領によるアフガニスタン駐留兵力削減の決断の是非もあり、マレン証言によってアフガニスタン・パキスタン問題が大統領選挙の行方を左右する問題にも発展しかねないと、私は見ている。
そうした情勢の中で、中国は静けさを保っている。中国政府はこの9月にSMAPの北京公演を国家支援で開催し、尖閣諸島紛争をめぐる日本との二国間関係の緊張を緩和しようとした。そうした微笑外交は日本だけを対象にしたものなのだろうか?中国は選挙中にアメリカを刺激しないように注意深く振る舞っているのかも知れない。ともかく、この選挙で外交政策は無視できない。11月には超党派の拡大委員会が国防予算に関する最終的な結論を出す。主要政策課題は相互に絡み合っているので、国内経済だけの議論では大統領選挙は立ち行かない。(おわり)
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