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2006-09-25 00:00
安倍政権と北方領土
大藏雄之助
評論家
周辺諸国に対する日本の外交はどう見ても成功しているとは言えない。その最大の責任は歴代の首相にある。今回はその一つとして、「北方領土」を取り上げたい。
わが国は1951年のサンフランシスコ平和条約によってサハリンとクリル諸島を放棄した。これらは当然ソ連に帰属するものと考えられていたが、ソ連が条約に調印しなかったために、国際法上は正式には所属未確定地である。しかし、実際にはソ連の後継国のロシアが有効支配している。ただし、歯舞・色丹・国後・択捉については日本は固有の領土として「返還」を要求している。歯舞・色丹に関しては1956年の日ソ共同宣言で両国の平和条約締結後に日本に引き渡されることが明記してある。その後、ソ連・ロシアはいろいろ言っているが、この二つは北海道の付属島であることは明瞭だから、先方でも「小クリル列島」という苦しい名前をつけているくらいなので、ロシアが保有し続けるには無理がある。
問題は国後・択捉である。紙面の制約上詳しい説明は省略せざるを得ないが、日本政府は1875年の樺太・千島交換条約の表記により、ロシア語のクリル諸島とは、1855年の日露通好条約で日本領と確定していた南千島、すなわち国後・択捉を含まないものと主張している。その議論の是非は別として、領土の変更は条約によって決定する。ソ連は第二次世界大戦の結果としての国境は既成事実であるとしていたが、1975年の全欧安保協力会議ヘルシンキ宣言で、欧州地域ではやっと認められた。
だが、日本はこれに拘束されない。ロシアは自国の領土と称しながら、後ろめたいところがあるので日本の国際司法裁判所提訴にも応じず、戦後の未解決の諸問題の一つとして平和条約交渉を続けるポーズをとっている。安倍外交は北方領土の「返還」を求めるのではなく、平和条約締結までは日本の領土だとの前提に立つべきだ。武力占領で国境が決まるのなら世界秩序は崩壊する。
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