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2011-12-02 00:00
(連載)日本はCOP17へ積極性をもって臨め(2)
角田 勝彦
団体役員
具体的に、野田政権は11月29日、地球温暖化問題に関する閣僚委員会で、次の約束期間をつくる「延長」には加わらないことを確認した。なお仮に延長が決まった場合には参加を拒否し、先進国に削減義務を課す「京都体制」から離脱する姿勢を鮮明にした。なお日本は東日本大震災を受けた「原発縮小」の中で、90年比6%削減の履行は困難なのが現状で、2009年鳩山由紀夫首相が国連総会で公約した「(すべての主要国が合意に参加するなら)2020年までに25%削減」との約束も脱原発の動きなどから達成困難との見方が広がっている。野田政権はこの目標を達成できるか再検証する方針を固め、来春に目標や達成の道筋について複数の選択肢を示し国民的議論を求める予定である。
京都議定書に基づき、同様に6%減の約束をしているカナダも延長に反対している。カナダでは、採掘に伴って大量の二酸化炭素を出す新しいタイプの石油資源オイルサンドの生産量が増えたことなどが原因で、温室効果ガス排出量が30%近く増えており、目標の達成は事実上不可能な状況にある。カナダのCTVテレビは11月、カナダが12月にも京都議定書から脱退する見込みとすら報じた。他方、EUは10月の環境相理事会で、「すべての主要排出国が参加する法的な枠組みを一定期限内に策定する」という条件付きで京都議定書の延長を容認する方針を打ち出した。このため、京都議定書は締約国会議で投票の4分の3の賛成があれば改正できるため、延長が決まる可能性が出てきた。ただし、各国の削減義務の設定にはその国の同意が必要で、日本が無理に削減を課される恐れはない。
この間の地球温暖化の進展も指摘されている。 国際エネルギー機関(IEA)は2011年5月、2010年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量が前年比5.9%増え、過去最高になったと発表した。世界気象機関(WMO)は、11月21日、二酸化炭素(CO2)やメタンなど地球温暖化の原因となる温室効果ガスの2010年の世界平均濃度が過去最高値を更新したと発表した。また11月29日には、今年10月までの世界の平均気温が2001年と並び、観測記録が残る1850年以降で10番目に高かったと発表した。北極海の海氷の規模は過去最小という。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も11月開いた総会で、温暖化の影響で極端な異常気象の危険性が高まったと警告を発した。
リーマンショック以後の不況や最近の欧州の債務危機が、地球温暖化への世人の関心を低めているが、これは現在のみならず未来をも左右する地球規模の問題である。東日本大震災で自然の脅威を痛感させられた我が国として、今こそ力を注ぐべき問題だろう。野田政権が新たに提言する「世界低炭素成長ビジョン」などが先進国と途上国の協力に結びつくことも期待したい。(おわり)
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