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2011-12-15 00:00
(連載)福島第一原発事故による放射能汚染への対応(1)
角田 勝彦
団体役員
福島第一原発事故は地域及び住民に大きな犠牲を払わせているが、除染や被曝への対応は後世への貴重な教訓となっている。「脱原発か原発推進か」の議論を離れて、人命を最優先にしつつ、科学的に、かつ経費と時間の点で効率が高い最善の選択を行っていくことが望ましい。来年4月に環境省外局として発足する原子力安全庁は、IAEA調査団が10月に提出した報告書で過剰な反応を避けるよう求めていることに、とくに留意すべきである。具体的には、事故による放射性物質の飛散で追加される被曝線量が、年1ミリシーベルト以下かどうかにこだわると経費及び時間がかかりすぎるおそれが生じているのである。
福島第一原発事故は、ある計算では広島原発の百数十倍の放射性物質(とくに半減期が約30年と長い放射性セシウム137)で半径20キロ圏内を中心とする地域を汚染した。12月14日に文科省は、事故後4カ月間で福島県に降った積算値は1平方メートルあたり683万ベクレル(放射能の強さや量を表す単位)で、45都道府県の合計値(14万4446ベクレル)の47倍に相当すると発表した。 政府は、原子力災害対策特別措置法に基づき、三種類の避難区域を指定したが、9月30日には福島県の5市町村が対象となった「緊急時避難準備区域」の指定を一斉に解除した。現在は政府が立ち入りを禁じている半径20キロ圏内の警戒区域と、避難を要請している20キロ圏外の計画的避難区域の2種類が残っている。
政府は11月11日、来年1月に全面施行される放射性物質汚染対処特別措置法に基づく除染や汚染廃棄物処理の基本方針を閣議決定し、環境省は来年3月末をめどに、両区域の本格的な除染を始めることを明らかにした。12月7日から自衛隊が役場の除染を始めており、環境省が、役場以外の公共施設や公道の除染を1月末から実施する計画である。両区域は年間放射線量に応じて三つの区域に再編される予定である。地上から高さ1メートルの年間放射線量が自然界からの被曝を除き20ミリシーベルト(人が放射線を浴びたときの影響を表すのに使う単位)未満は「解除準備区域」、20~50ミリシーベルト程度は「居住制限区域」、50ミリシーベルト以上は「長期帰還困難区域」に分けられる。三つの区域は、国が福島県や市町村と協議して、行政区域に配慮しながら具体的に定める。それぞれについて帰還までにかかる時間の目安を示す方針で、長期間にわたって住むことのできない「長期帰還困難区域」も設定される。
なお政府は12月12日、年間放射線量が50ミリシーベルト以上で、5年以上生活できないと政府が判断した地域の民有地を、住民が希望すれば、借り上げるか買い上げる方針を固めた。また年間1ミリシーベルト以上の放射線量が検出された「汚染状況重点調査地域」に指定されれば、環境汚染に対応する特別措置法に基づいて国が除染に財政支援をする。この汚染状況重点調査地域は福島県外も含めて100市町村を超える見込みである。野放図な支援にならないことが期待される。これらは、12月16日の原子力災害対策本部(本部長・野田佳彦首相)で原子炉の冷温停止状態を確認したうえで年内に公表されよう。(つづく)
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