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2011-12-18 00:00
(連載)接近拒否ミサイルのグローバルな拡散に対処せよ!(1)
河村 洋
ニュー・グローバル・アメリカ代表
中国の海軍力と接近拒否能力の急激な拡大は、近年になって西側の政策形成者達の間で多いに注目されている。接近拒否能力は一見すると防衛的だが、一般に思われているよりも攻撃的である。それは西側の艦隊を破壊するミサイルを配備するという「無言のモンロー・ドクトリン」である。専門家達は中国にばかり目を向けているが、『ディプロマット・マガジン』は12月2日の記事で「接近拒否能力を強化する専制国家が次々に現れ、自国近海での西側海軍の優位に挑戦するともに自分達が勢力範囲と見なす海域での支配権の確立を目指している」と述べている。よって西側の政策形成者達は対艦巡航ミサイルの拡散を阻止し、こうした国々の接近拒否能力を無力化する戦略を模索しなければならない。
中国の接近拒否能力に関しては、本年9月8日に、アメリカ海軍大学のアンドリュー・エリクソン准教授が海軍大学博物館で『中国の航空宇宙戦力:海洋での役割の進化』と題する講演を行なった際に「それらのミサイルによってアメリカ軍は物理的に不利な立場になってしまう」と論じている。中国の他には、イラン、シリア、北朝鮮といった専制国家が、接近拒否ミサイルの配備に熱心である。
その中では、北朝鮮のミサイルは、旧ソ連製のものを転用したものなので、さほどの脅威にはならない。イランとシリアの脅威はより重大である。両国ともロシアと中国から接近拒否ミサイルを輸入している。イランは核開発とテロ支援で国際社会に致命的な脅威を突きつけているにもかかわらず、中国は先端技術の対艦巡航ミサイルをイランに輸出し、そうしたミサイルを製造する工場を現地に建設までしている。今年の7月6日、イランは戦略要衝のホルムズ海峡付近でトンダー地対艦ミサイルの実験を行なった。イスラム革命防衛隊は「このミサイルの速度はマッハ3、射程距離は300kmになる」と宣伝している。
こうしたミサイルの製造には、中国がイランに先端技術を供与した可能性が高い。だからこそ中国の脅威がアジア太平洋地域にとどまらないと、これまでに何度も述べてきた。さらにロバート・ゲーツ前国防長官は退任を目前にした5月24日のアメリカン・エンタープライズ研究所での講演で、「非国家アクターの中にはヒズボラのように主権国家より高性能の対艦ミサイルを保有する組織もある」と述べた。ミサイル技術に関して、『ディプロマット・マガジン』のハリー・カジアニス編集助手は、「そのように技術は目新しいものではないが、それらの兵器の有効射程距離は飛躍的に伸び、命中度、飛行速度、運用性も向上している。そうした兵器からいかにして艦船を守るかが軍事戦略家にとって大きな課題となっている」と論評している。(つづく)
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