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2011-12-22 00:00
日本新生5ヵ年計画を立てよう
松井 啓
元駐カザフスタン大使
平成に入ってから無為に20年が失われた。2011年には経済的政治的に低迷を続ける日本に止めを刺すように歴史的な災害(地震、津波、原発事故)と円高が日本を襲った。抜本的は改革なくしては「失われた30年」を迎えることとなろう。2018年は明治維新から150周年に当たる。この年を新生日本元年とすべく、5カ年計画を立て、国民一丸となって邁進すべきである。独立国家の基本理念は自国の領土と国民の生命と財産を守る気概であり、そのための能力の確保に努めることは国家の責務である。戦後の日本はあまりにも経済発展に重点を置き過ぎ、また東西冷戦構造下での米国との同盟による防衛に頼り、この基本的な理念を放置して来た。冷戦構造崩壊後の国際政治・経済関係の多極化、グローバル化は日本が何時までもぬるま湯に浸っていることを許さなくなっている。
戦後66年を経て、国家の仕組みが構造疲労を起こしていることは内外から度々指摘されてきている。時代に即応した抜本的な改革が必要である。我々が直面している課題には次のようなものがあげられる。即ち、国家存立の基本である防衛と外交政策の多面的展開、国際的に通用する教育制度、税制と社会保障制度、食糧やエネルギーの長期的確保、国際環境保全政策、国際競争力ある産業構造の構築、新国際経済協力・援助の新政策、海洋開発や宇宙開発と安全保障、人口動態に応じた産業政策、中央と都道府県等の行政制度、国際文化広報新政策、国際情報組織設立、自然との共生を重んじた日本的生き方の復活等々。最終的には天皇及び皇室制度、国会制度、国家の運営システムのあり方に収斂され、戦後66年間手をつけてこなかった憲法改正に繋がろう。
これらは長らく政権の座にあった前政権が先送りして来た問題でもあり、国民全体の責任でもある。目下政権を委任された民主党は、増税に対し時代錯誤的に反対を叫ぶ元代表や不意に浮遊雑音を発する空気の読めない元首相などの撹乱分子を抑え込み、長期的な国益を見据えた政策を果敢に遂行して欲しい。政権与党も第一野党も国民の支持率は30%程度で、他の30%はいずれの党にも愛想をつかせていることを深刻に受け止めて欲しい。
日本人は外圧で結束し、共通の目標があれば団結し協力する。明治維新以降「富国強兵」の下、欧米先進国の仲間入りをした。太平洋戦争敗戦後は経済大国を目指し奇跡的な高度成長を遂げた。現在は20年来先送りにされてきた諸課題を整理し、問題意識を共有して、国家運営の基本路線に関する国民的合意を形成し、課題解決のための5カ年の戦略と工程を作り、党派、信条を超え国家目標実現のため一丸となって協力していく必要がある。マスコミも諸党派の対立を煽るのではなく、国民が非現実的極論に走ることなく、長期的大局的視野に立って冷静に真剣な議論ができる環境を醸成することを切に希望する。そうすれば2018年には晴れて新生日本元年を祝うことができよう。
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