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2012-01-07 00:00
(連載)日本核武装の是非(2)
河東 哲夫
元外交官
320頁には次の言葉がある。「独自の核抑止力を持つとの日本の要請を米国も拒否できない日が、それ程遠くない将来到来する。米国がこれをあくまで拒否するなら、在日米軍基地の全廃を求め、併せて全く日本の独力で、通常兵器による抑止力に加え、フランスの如く限定した核戦力を潜水艦を用いて保持するというのが理論的な帰結」(注:勇ましいが、日本は米国と過度に対立すると、米国の仮想敵国となりかねない。身を守るのが目的なのに、かえって強敵を増やすことはない。それにここで村田元次官が言う態勢が整うまでに、20年はかかるだろう。これでは実用にならない)
村田元次官はわりとあっさり、核兵器保有論を唱えているが、核兵器を日本が持つかどうかを議論するに当たっては、次のことも考える必要があると、僕は思っている。
1.報復攻撃用の核兵器を日本が保有する場合、それは日本本土に置いてはならない。核兵器による先制攻撃の対象となりやすいものを本土に置くことは、危険である。
2.結局、潜水艦発射の核ミサイル(または核兵器搭載の巡航ミサイル)が日本にはもっとも適当だろう。これは、自力開発はほぼ無理だ。結局、村田元次官の言うように、米軍の核をシェアさせてもらうしかない。これを米国とどのように費用分担し、発射決定をどのように共同で行うか、の問題になる。
3.一連のシステムを独自開発、独自所有しようとするのは、時間がかかる上に、米国までも仮想敵国に回してしまうことになりかねない。
4.それに日本人は原子力発電であれ、国家統治であれ、大きな「装置」を強い指導力をもって動かす能力に乏しいのではないか。感情論に瞬時に傾きやすい世論を持った日本の政府に、核兵器を持たせていいのか?
今回の日本核武装論の背景は、中国が強大化するなかで米国の力に陰りが見えていることだろう。だが米国経済は盛り返すだろうし、今の状況でも世界における米国の力は中国をはるかに上回る。中国は、米国に圧迫された国々にとっての駆け込み寺の存在を出ていない。感情に動かされて、中立や核武装などの考えに飛びつくと、結局戦前の日独伊枢軸のような誤りを再度冒すことにならないだろうか。(おわり)
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