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2012-01-13 00:00
(連載)米新国防戦略後の日本の目指すべき集団安全保障構想(2)
高峰 康修
日本国際フォーラム客員主任研究員
しかし、米国の国防戦略が成功することが、我が国にとって死活的な国益であり、新国防戦略に正しく適応することが重要である。米国のアジア太平洋地域へのコミットは、新国防戦略の宣言の通り十分なものとなるかどうか疑わしく、結局、自助努力が双方のために最も役立つのであって、不可欠である。具体的には、集団的自衛権の行使容認と、防衛費の大幅増額が、まず必須である。アジア太平洋地域の各国が、より大きくバーデン・シェアリング(負担の分担)に応じれば、この地域における抑止力が向上し、いざという時に米国が他の戦域に戦力を割く余裕が出てくる可能性が高まる。
これは、米国の国防戦略を助けることに他ならず、同盟の信頼関係を高めることである。また、自助努力をしてはじめて、米国の国防費不足に注文をつける資格ができる。この点、今の日本は、残念ながら、いうまでもなく失格である。アジア太平洋地域での同盟構造は、米国を中心とするハブ・アンド・スポークスであると、しばしば形容される。日豪や日印の安保対話は、スポークス同士の横のつながりの強化である。いささか言葉遊びめいて恐縮だが、車輪は、ハブとスポークスだけでは成り立たず、横のつながり、すなわちタイヤの部分がなければならない。
とすれば、日豪、日印、あるいは日韓の安保協力推進は、タイヤの構築ということになる。しかし、アジア太平洋地域における安保協力は、ハブ・アンド・スポークスの強化を越えて、NATOのようなネットワーク型の集団防衛機構を模索するべきであろう。地域の各国によるバーデン・シェアリングは、ネットワーク型の安保協力推進によって、最も効果的に高まると予想されるからである。ただ、この場合、はじめから条約に基づく集団防衛機構を構築するというのは現実的ではない。アジア太平洋、あるいは、インド太平洋地域における最大の関心事の一つは、航海の自由を中心とする海洋安全保障である。
したがって、航海の自由に関する有志連合のようなものが、よい入口となるはずである。海洋安全保障に限定するのはいかがかと思われるかもしれないが、この地域における大抵の安全保障上の問題は、海洋安全保障で網羅できるはずである。しかる後に、条約に基づく集団防衛機構を目指すのかどうか、慎重に検討していけばよい。中国は反発するであろうが、航海の自由に誠実にコミットするつもりがあるならばオープンである、とすればよい。集団的自衛権の行使容認が大前提だが、我が国は、地域における、こうしたネットワーク型の集団防衛機構の模索へのイニシアチヴをとるべきである。もちろん、このような取り組みと日米安全保障条約に基づく日米同盟は排他的なものであると、決して考えられるようなことがあってはならない。(おわり)
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