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2012-01-29 00:00
サイバー戦能力を核抑止に使えないか?
河東 哲夫
元外交官
この頃「サイバー・テロ」とか「サイバー戦」いう言葉がよく聞かれるようになった。この前、日本の兵器生産企業のコンピューターに何者かがもぐりこんでデータを盗み出したが、これがサイバー・テロだ。コンピューターのことがわからない僕は、これは専門家が始末するべきことだと簡単に考えていたのだが、サイバー戦はどうやら核ミサイルの無力化にも使えそうなのだ。宇宙戦争の映画などによくある、空飛ぶ円盤が「しんしんしん」と音がする(波状の色もついていることがある)電磁波か何かを周囲に飛ばすと、それにひっかかったミサイルはそこに止まってしまう、などの例だ。
まあ、そこまで技術は進んでいないにしても、現代の核ミサイルは飛行中、内部に備え付けのジャイロにだけ頼っているのではなく、人工衛星などを経由して伝えられる電波情報で目標への弾道を常に微妙に修正しているのだそうで、だとすれば、人工衛星、または地上の施設から電波を発射し、敵ミサイルの誘導を狂わせてしまう、または「発送者あてに送り返す」こともできる、ということではないか。これは、日本の防衛にぴったりだ。
こういうことを言うのは、どうも米国もサイバー戦で自国の核ミサイルがやられてしまうことを真剣に心配し始めた兆候があるからだ。そうなると、米国が日本の上にさしかけてくれているはずの「核の傘」が破れ傘になってしまうので、日本は別の「傘」を開発しないと、北朝鮮や中国やロシアなど核ミサイルを多数保有する国々から容易に脅されてしまうことになる。
その兆候は1月12日、米国のThe National Interest のサイトに載った「米中関係の将来」と題する論文に見られる。筆者はDavid Gompertと Philip Saunders 。双方ともサイバー戦についての最高の専門家だ。彼らは、「中国が開発しているサイバー攻撃・人工衛星破壊能力は、他国の防衛能力を麻痺させ得る」と言う。つまり、中国が米国の人工衛星を破壊すると、米国は核ミサイルを誘導する手段を失う、ということだ。日本の安全保障にとっては一見、由々しき事態に見える。だが見方によっては、核の時代はいよいよ終わりを告げ、非核の技術力が防衛に大きく貢献できる時代が到来しつつあるということならば、それは日本にとって好都合のことではないか?日本は、サイバー戦をMD(対ミサイル防御)として利用する方法を開発していくべきだろう。
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