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2012-02-01 00:00
“弱い脇腹”田中を「袋叩き」の予兆
杉浦 正章
政治評論家
「普段女房の真紀子から鍛えられているから持ちこたえる」と言うジョークが永田町で飛んでいるが、防衛相・田中直紀の予算委員会答弁をつぶさに見た限りでは、とても持たないのではないか。あまりに人が良すぎる。人が良いと言うことは、永田町では蔑称の代名詞だが、ちょっと度が過ぎている。おまけに事実上自らが集中砲火を浴びるための予算委外交・安保集中審議であることを理解していない。無断で15分間も閣僚席を空けるなど、緊張感が全く足りないのである。だから委員会における野党質問も、まるで「口頭試問」のようになる。例えば山谷えり子(自民)が南スーダンに派遣された自衛隊の警護について尋ねたのが、その例だ。間違って「まだ決まっていない」と答えたが、実際にはバングラデシュ部隊が警護している。結局山谷から答弁撤回を求められて、「理解してなかったことは大変申し訳ない」と陳謝する羽目に陥る。今後予算委はあの手この手でこの「面接試験型袋叩き」が繰り返される。そして、田中の“資質”が浮き彫りにされる。
横で右往左往ぶりを眺めていた首相・野田佳彦は「田中大臣は、外務政務次官や参議院の外交防衛委員長などを務めたことも踏まえて、適材として、判断した。就任直後で、いささか緊張している向きもあるかもしれないが、しっかり職責を果たしてほしい」と、今のところは擁護している。しかし過去の閣僚辞任例における野田発言はすべて「しっかり職責を果たしてほしい」であった。この野田答弁が出始めると、“更迭”の2文字が浮遊し始めるのだ。田中は義父田中角栄について「田中の父は国会論戦の名手として有名だった。そこが私との最大の違いだ」と述べたが、もともと比較に値する政治家ではあるまい。格が違うのだ。既に難問が浮上している。共産党がやり玉に挙げた沖縄防衛局長・真部朗の進退問題だ。
防衛局は自衛隊員に対して局長の宜野湾市長選をテーマとする「講話」への出席を呼びかけたのだ。防衛省が調査した結果、真部は投票に行くように啓発したものの、特定候補への投票依頼はしていないことが分かった。しかし市長選は保守対革新の2人の候補で戦われる。局長が「講話」をするということは、「共産党の推す候補でなく、自民党の候補への投票をせよ」と言外に言っているに等しい。国家公務員の選挙運動を禁じた公職選挙法などに直接的に抵触する可能性は少ないが、実態はまぎれもない選挙運動だ。だいいち「投票に行け」などという指示は選挙管理委員会の仕事だ。局長の更迭処分は免れまい。この宜野湾市長選への自衛隊の“関与”は、氷山の一角に過ぎない。これを機会に国政選挙や地方選挙における自衛隊の動きが注目の的となることは必至だ。ネットでは元幹部自衛官がブログで、選挙関与の実態を暴露している。その内容は「自衛隊が選挙になると毎度、やっている教育。それはどこの党に投票する、そして視認情報を集めてくる教育である。その教育は部隊毎に行われ、定期秘密保全検査のため機会教育簿に教育をしたという証拠として記載する」のだという。
そして、この「機会教育簿」には「『政党を良く承知せよ』と書かれている。『投票したならば中隊本部に連絡せよ』と言っている」と暴露している。「自衛隊では投票率が、ほぼ100%なのである」とも述べて、上部の意向が隊員に100%近く徹底されることを物語っているのだ。最後に「国民のみなさん。自衛隊が、組織を利用して自民党に投票するよう教育し、投票させる行為は、公職選挙法や自衛隊法違反ですが、こんな事が許されていいのでしょうか?」と結んでいる。自衛隊が各種選挙で“活動”することは周知の事実だが、これも本省レベルからの暗黙の指示がなければ出来る話ではあるまい。今後宜野湾市長選をきっかけに過去の例が「本省ぐるみ」として暴かれてゆけば、防衛相の責任問題へと発展する。宜野湾市の例も、ハンドリングをあやまると田中を直撃することになりかねない。それに普天間移設問題をはじめ緊張する北東アジア情勢を抱えて、防衛相は国会質疑の焦点でもある。これを野田がろくろく資質を確かめもしないで任命した責任は大きい。防衛相への不信任案や問責決議案が上提されれば、可決されるケースも想定されよう。当然野党は政権の一番弱い脇腹である田中に照準を定めている。
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