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2012-02-16 00:00
(連載)イデオロギー上、イランは日本の敵である!(2)
河村 洋
市民運動家
遺憾なことに、イランの現体制は暴力、狂気、抑圧を愛し、それは我が国の愛する理性、人間性、自由とは相容れないという認識が大平政権には欠けていた。戦後の受動的平和主義と経済至上主義に支配された日本政府は、米大使館占拠事件をめぐって西側同盟諸国が制裁強化を要求してきたにもかかわらず、イラン・日本石油化学プロジェクトの継続にばかり気をとられていた。後に狂気と憎しみの体制が勝手に商取引を廃棄したことによってプロジェクトは破談となり、日本は多大な損失を被ることになる。これがイランと日本の間の「長年にわたる友好関係」の実態である。非常に不思議なことに、企業の金儲け主義を攻撃することが大好きな左翼からは、イランのようなテロリスト国家との商取引を非難する声が殆ど聞かれない。左翼の大企業批判には良心のかけらもないことがよくわかる。
そうした建国理念の著しい違いとシャー体制崩壊後の両国関係の悲劇的な歴史を見れば、日本のエスタブリッシュメントはイランの脅威への警戒感をもっと強める必要がある。イラン核問題は1月31日に行なわれた参議院予算委員会の外交問題審議で取り上げられた。しかしこの審議での野党の質問には驚愕させられた。最も驚くべき質問は、イランの核兵器とイスラエルの核兵器の混同である。公明党の浜田昌良参議院議員は、イランとイスラエルがまるで中東の安全保障で同等の脅威であるかのごとく述べた。しかし以下の点に留意すべきである。最も重要なことに、イランにはパレスチナからレバノン、イラク、アフガニスタンまで及ぶテロリストとの広範なネットワークがある。核不拡散で今日の最も危険な政策課題は、テロリストと核保有国の結びつきである。さらにイランの核兵器は攻撃目的だが、イスラエルの核兵器は防御目的だということにも注意すべきである。
イランのシーア派体制は、究極的に中東から中央アジア一帯に及ぶ革命の輸出を目指しており、この目的のために核兵器を保有して大国の地位を得ようとしている。イランが核開発計画を推し進める第一の理由がイスラエルであるなら、今年の2月にナビド衛星を打ち上げたのはどうしたことなのだろうか?このことはイランのミサイル標的がイスラエルにとどまらないことを示唆している。一体どこを狙っているのだろうか?ロンドンか?パリか?ニューヨークか?それともワシントンか?最後に、中東諸国が怯えているのは、イスラエルよりもイランの核の脅威であることを指摘したい。核不拡散の専門家の間ではエジプト、サウジアラビア、その他湾岸王制諸国への核拡散の懸念がある。これらの国々が核保有に走るとすればイランに対してであり、イスラエルに対してではない。浜田氏は参議院において上記の点に考慮を払っていなかったので、公明党には反ユダヤ主義の影響が及んでいるのではないかとの疑念を私は抱かずにはいられない。
同委員会でのイラン問題に関する審議では他にも質問があった。新党改革の舛添要一代表はイラン問題で中国の協力を得る必要を強調したが、彼の国が我々とは世界平和に関して共通のビジョンを有していないことに留意しなければならない。中国は石油資源の確保にとどまらず、イランをめぐって危険な軍事的野心を抱いている。中国はイランに先端技術を用いた対艦巡航ミサイルの製造の支援を行なっている。ワシントン近東政策研究所のマイケル・シン所長は「中国はこうした軍事技術支援だけでなくイランに海軍基地を確保してスエズ以東のシー・レーンを支配しようと模索している」と警告している。北朝鮮の場合と同様に、我々西側民主国家が中国を六者協議に加えているのは、彼らが我々と価値観と安全保障上の利益を共有しているからではなく、我々の取り組みを彼らが崩壊させることを防ぐためである。イラン問題では中国に対し、我々は彼らの行動を監視すれども頭を下げて協力を願う立場ではない。元東京大学教授である舛添氏が中国に関してあのように甘い認識を示した理由が、私にはわからない。(つづく)
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