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2012-02-17 00:00
(連載)イデオロギー上、イランは日本の敵である!(3)
河村 洋
市民運動家
参議院の審議では制裁の強化がどれほどの効果があるかも重要な議題であった。しかし制裁については経済的な効果ばかりでなく、政治的な圧力を込めたメッセージという側面も忘れてはならない。制裁の強化はイランが我々の要求に従わないなら先制攻撃も辞さないという警告のメッセージとなろう。玄葉光一郎外相は野党からの質問に落ち着いて筋の通った答弁で応じたが、「イランが日本とはイデオロギー上は敵対関係にある」という重要で基本的な事実を認識している兆候をかけらも見せてくれなかったのは残念と言う他にない。
日本のエスタブリッシュメントがイランをどう見ているかを理解するために、政府以外の部門からの論評にも触れたい。NHKの大越健介キャスターは、「ミャンマーの場合と同様に日本が『長年にわたる友好関係』を活用してイランと欧米の仲介役を果たすべきだ」と主張する。しかしミャンマーとイランを混同するのは全くの間違いである。ミャンマーは孤立しているが、イランはテロリストとも他の専制国家ともつながりがある。アメリカとヨーロッパの政策形成者達がイランの危険性を問題視している理由は、まさにこれである。大越氏はそれでも我が国が「長年にわたる同盟諸国」とは独自の行動に出て、悪の体制との友好関係を重視せよというのだろうか?こうしたナイーブなコメントを聞くと、彼がワシントン駐在を経て東京のメインキャスターになったとはとても思えない。
日本のエスタブリッシュメントは対イラン関係において明らかに商業利益のみを追求し、我が国の建国基盤となるイデオロギーと体制について考慮を払ってこなかった。「国際関係においてイデオロギーと体制を超えて互恵的な経済発展を追及できる」と言われることが多い。しかし実際にはこの文言は専制国家が仕掛ける最も危険なハニー・トラップである。専制国家は民主国家の犠牲のうえに自分達の生存の見通しを最大化しようとしている。日本のエリート達は経済にばかり目が向きがちで、圧政国家が抱える「悪の性質」を見落としがちである。1960年代当時、フランスのシャルル・ド・ゴール大統領は池田勇人首相を「トランジスター・ラジオのセールスマン」と揶揄したが、日本のエスタブリッシュメントの世界観はそのころのものとあまり変わっていないのではなかろうかと思える。日本のエリート達には我が国のアイデンティティなど関心がないようだ。日本はそのように空虚な友好関係をイランとの間で維持すべきなのだろうか?そんなことはあり得ない!暗黒時代の体制を地図上から消し去るのは、我が国の国益に適っている。
我々日本国民は、アメリカ、ヨーロッパ、イスラエル、そして何よりも重要なことにグリーン運動で神権政治に対して立ち上がったイラン国民と政策目標を共有している。制裁の強化が叫ばれて先制攻撃が真剣に考慮されるにおよんで、我が国としてもチャーチル的な決意をもってシーア派のヒトラーの野望を挫く準備ができていなければならない。イランは殺人者、殺戮者、圧政者、テロリスト、狂信主義者、誇大妄想主義者の体制である。彼らが核拡散に手を染めているのは、まさにこのためである。1979年の米大使館人質事件はテヘランの現体制のおぞましい性質の象徴である。福沢・森思想に基づく近代主義の我が国にとって、彼らは受け容れがたい存在である。ここに一人の市民運動家として、日本のエスタブリッシュメントには我が国の国民的価値観とイランの専制政治に内在する悪をこれまで以上に強く認識していただくように懇願したい。(おわり)
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