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2012-02-25 00:00
「領土問題」解決にはグローバルな視野が必要である
松井 啓
元駐カザフスタン大使
日本は中国と2回、ロシア(ソ連)と2回、アメリカと1回戦争をした。いずれの国とも最終的には敗北したが、3カ国のうちアメリカとは同盟関係にある。中国とロシアとは「領土問題」(客観的に見てそのような問題がないとはいえない)を抱えており、その早急な解決の見通しは立っていない。
日本の置かれた地政学的位置は、サハリン、台湾とともにユーラシア大陸の極東部分を弓状に囲む位置にあり、大陸から西太平洋への航行の障害となっている。逆に太平洋からアジア大陸に接近することを阻む防波堤ともなっている。北極海の氷が緩んできて、将来この海がアジアとヨーロッパを結ぶ最短航行路となることも見込まれており、オホーツク海、日本海、東シナ海、南シナ海、へ抜ける海洋の自由な航行は、日本だけでなく国際的に重要な問題となる。
北方領土は真珠湾攻撃の爆撃隊が出発した地点であるが、海洋航行の見地からも日本海側と西太平洋側の出入りの拠点に位置している。ロシアがこれらの島の軍事的再評価をしているようであるが、日本も単に資源や法律的歴史的正当性の観点からでなく、これらの島の戦略的重要性を再評価すべきである。日本を巡ってはアジア回帰の米国に加え、中国、ロシアも参入した3強国のグレートゲームが既に始まっており、「領土問題」は単なる資源を巡る二国間同士の問題ではなく、グローバルな軍事(特に海洋面での)展開の観点から捉えるべきである。
従って、ロシアや中国の政権が代わっても、軍事、資源開発、経済近代化、貿易等の分野も含めた総合的なアプローチをしない限り、「領土問題」の解決が急展開することはないであろう。ロシアと中国のこの地域の制海権に関する立場は一致していない。政権が代わっても、今のところ幸いにしてアメリカの日本支持の立場に大きな変化はなさそうである。長期的大局的観点からこの3国のカードをどう使い分けていくか、熟慮すべき時に至っている。
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