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2012-03-04 00:00
(連載)毛を吹いて疵を求めず(2)
角田 勝彦
団体役員
日中国交正常化40周年に当たる今年、日中の政府、民間の関連行事などへの波紋の拡大が懸念される。本件については昨年1月31日に日中歴史共同研究の報告書が発表されたことを想起したい。これは、小泉純一郎首相(当時)が靖国神社に参拝し、日中関係が悪化したことを踏まえ、2006年10月に安倍晋三首相(同)が中国の胡錦濤国家主席と合意し、日中それぞれ10人の有識者による委員会(座長は日本側が北岡伸一・東大教授、中国側が歩平・社会科学院近代史研究所長が務めた)が設けられて実施されたもので、一応のとりまとめとなっている。
南京大虐殺については「大規模な虐殺行為であることを認めこれを討論した」と明記した。ただ、規模、原因、背景などについては「深く追究する必要がある」とした。日本側は「日本軍による集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦、略奪や放火も頻発した」と認定し、ただ、犠牲者数は「20万人を上限として4万人、2万人など様々な推計がなされている」と指摘(「副次的要因」として中国軍の民衆保護策の欠如なども挙げた)したのに対し、中国側は「中国軍人が集団的に虐殺された」と強調し、犠牲者数は中国政府の見解を踏襲し、「30万人余り」としたのである。
たしかに虐殺そのものを否定する研究者も存在する。河村市長はそれなりの根拠を持っているのだろう。しかし30万人と言うのが白髪三千丈的誇張にしても、2万人というのは東日本大震災の犠牲者(死者及び行方不明者)合計に匹敵する。多少の数の多寡を議論するレベルではあるまい。虐殺、強姦、略奪や放火はあまり追求したいテーマではない。河村市長や石原東京都知事を含む同調者はやぶ蛇を恐れるべきだろう。
「論語」に「成事は説かず、遂事は諌めず、既往は咎めず」という好都合な言葉がある。外務報道官の発言のように「本年が特に日中国交正常化40周年にあたるということに鑑み、日中関係が戦略的互恵関係に基づき、ますます発展していくことを切に願い、その方向に向けて日本国政府としても最大限の努力をしていく」ほかはあるまい。(おわり)
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