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2012-03-19 00:00
(連載)原発はどのていど危険なのか(2)
角田 勝彦
団体役員
一部の放射能パニックは、がれき・食品などへの対応や南への転居に見られるように、まだ続いている。福島県からの避難者がいわれなき差別や偏見に苦しむ出来事も相次いだ。関東地方の小学校では福島からの転校生はクラスメートから仲間はずれにされ、不登校になったし、首都圏のガソリンスタンドでは、福島ナンバーの車が給油を拒否されたという。 2011年5月初めに「浜岡の原発を止める」と誇らしく宣言した菅首相は、のちに「東海地震が発生する確率が非常に高いとの研究結果があり、事故が起きたら完全に東京と大阪の間が遮断されて、日本の経済、社会に極めて大きな影響を及ぼすから」と話した。
しかし、一概にパニックと非難できないのかも知れない。2011年3月中旬「東京から逃げ出せ」とのメールがなんどか届いたのに、福島からの距離を考えろと反論した筆者も、大震災一周年を契機に報じられた最近の記事で、津波で電源を失った三つの原子炉が同時並行的にメルトダウン(炉心溶融)を起こす前例のない事故により、最悪の事態としては首都圏3,000万人避難の可能性があったことを知り、メールはデマではなかったのかと驚いている。3,000万人の避難は事実上不可能であり、かかる災厄の可能性は「原発の存在価値」を無意味としよう。
だが、EUが昨年6月から実施している域内の全原子炉143基を対象としたストレステストの国別報告書が3月6日までに出そろったが、原発を保有する14カ国がいずれも「原発を閉鎖するほどの深刻な欠陥は見つからなかった」と結論づけた事実もある。杞憂という言葉もある。基本的には「安全神話」の流布者でない専門家の見解に頼るほかはあるまい。大飯原発の地元福井県おおい町の時岡町長は、3月14日読売とのインタビューで、大飯原発再稼働のため「暫定的安全基準を国が示すこと」と「その基準に合う安全対策をとること」を要請した。
基準については 、保安院の担当者が「弱点を明らかにするのがストレステスト。原発ごとで状況が異なるため、一律で大丈夫という基準はない」と理解を求めた経緯はあるが、事業者のみならず国が必要性と安全性について出来る限り客観的な説明を行うことは有意義だろう。「原発怖い」を払拭することにも役立とう。福島原発事故で痛手を被った「原発推進派」と「原発反対派」の論争が出来るだけ冷静に行われ客観的結論が得られることを期待する。(おわり)
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