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2012-03-22 00:00
「維新の会」のマニフェスト分析
船田 元
元経済企画庁長官
最近の政治の舞台で一番勢いのある「大阪維新の会」は、橋下徹大阪市長を先頭に、次期衆議院選挙において「全国で200人を超える候補者を立てる」と、鼻息が荒い。マスコミの後押しもあるので、自民・民主をはじめ既成政党はこの勢いに戦々恐々として、何とか彼らと連携が出来ないかと模索をはじめている。しかし果たして、「維新の会」が国政を担える政党になりうるかどうかは、まだまだ不確定要素が大きい。特に先日発表された彼らのマニフェストには、やや過激で実現困難な項目も多く含まれており、また世論の反発を受けて一部をマイルドな言い回しにするなど、不安定な態度も見られる。
彼らとの連携は、もう少し時間をかけて対応したほうがいいのではないだろうか。 一方彼らのマニフェストには、幾つか魅力的な項目があることも事実である。例えば首相公選制や参議院廃止論などは、当然憲法改正を伴う問題であり、憲法改正国民投票法を作り上げた私としては、これにより憲法改正議論が活発になることは、とても嬉しいことだ。但し「参議院廃止」は過激すぎる議論であり、衆議院と参議院の役割の見直しとか、衆参を対等に合併する程度が望ましい。
首相公選論は古くは中曽根元総理が、最近では小泉元総理が提唱しており、私も新進党時代提起したことがあるくらいだ。日本の政治決定が余りにも遅い現実や、リーダーシップが欠如した現状を打開するためには、有効な手段となることは明らかである。公選された首相はアメリカ大統領と同じ権限を有するのか、議会との新たな関係をどのように作っていくのかなど、懸案は山積するが、議論のきっかけを維新の会が提供してくれることは大いに歓迎したい。
しかしこれとは別に、「掛け捨て年金制度の導入」は国民の財産権を侵すことになり、「首長と国会議員の兼職容認」は、それぞれの職務の遂行を困難にしかねない。「源泉徴収をやめ、国民皆確定申告制度を導入」することは、徴税の現場に大混乱をきたす。もう少し現実的な対応を望まなければならない。このように「維新の会」のマニフェストは荒削りの部分も目立つが、既成政党が気付かないような、また言えないような大胆な政策を示して、停滞した政局に一石を投じてくれた功績は、率直に認めざるをえない。自民党ももっと頑張らなければならない。
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